2015年版 中小企業白書のポイント

2015年版 中小企業白書のポイント

畠経営グループ EQAグローバルレジストラ
代表取締役社長 円城 将義 氏(金沢西RC会員)

 今回は仕事柄、私が事業計画の立案やお客様のご支援等に使っております中小企業白書について皆さんにご紹介します。自己紹介しますと、商社で2年位営業した後コンサルタントの仕事に興味を持ち、23歳の時に畠経営グループに入社、26歳で役員就任、31歳にグループの中で独立させていただきました。グループ全体で95人ですが、半分が会計事務所、そのほかM&A、医業関係のコンサルタント、社会保険労務士としての労務サービスなどがあります。私は、ISOの審査と認証に関わる仕事を行なっております。建設関係の仕事が多く石川県では3社に1社は私の方で担当させて頂き、北陸三県ではトップのシェアであります。
 中小企業診断士の資格は、昨年ロータリーで仙台へ植樹に行った時の翌日に仙台で試験を受けて取得しました。
 中小企業白書は毎年GW前後に中小企業庁のHPに掲載されます。大企業は全体の0.3%で、中小企業は残りの99.7%の385.3万社となりますが、国税庁によると中小企業の70.3%は赤字で、毎年1万件以上が販売不振等で倒産しています。GDP成長率では2013年のアベノミクス以降伸びましたが、2014年の消費税増税以降個人消費の落ち込みで減退しているのがわかります。
 白書では、原材料・仕入単価の上昇に伴い、中小企業の採算が悪化していることに対し、仕入単価の上昇を販売価格に転嫁できるよう対策を講じるべきとしています。また従来、中小企業は、大企業が市場から獲得した需要の恩恵を受けていたが、グローバル化に伴い中小企業は自ら市場と向き合い需要を獲得する必要に迫られてきていることも指摘しています。また、収益力向上に対し高収益企業は「優秀な人材の確保、人材育成」、「技術開発の拡大」を強く意識しており、大事なことだと注目しています。
 イノベーションは新しい商品、新しいサービスの提供に必要なことですが、広域需要志向型企業に積極的な取組みがみられ市場での差別化に必要な研究・開発、社外との協働が増える取組み等、社外を意識した取組みが活発に行なわれています。イノベーションを行う上での課題は、担当する人材の見極めや投資に関わる資金調達が挙げられます。
 各課題に対し石川県ですと地場産業振興センターに「よろず支援拠点」というのがあり、相談がある場合はスタッフの方に訪ねてもらうと良いと思います。
 販路開拓の取組みでは、営業や企画立案を行う人材不足に課題を感じており、新規市場では成果を得ることが難しいと感じています。販路開拓の成功事例では、上手くデザイナーと連携しブランドを構築しているものもあります。人材確保については、全国的に人材不足だと感じており、3年目までの離職率は中途採用の3割、新卒採用の4割に達しています。
 人材の定着・育成に対しては、部下指導のノウハウが無いことや育成の仕組みが欠けていること等が課題であると思います。