NTTドコモの災害対策について

NTTドコモの災害対策について

(株)NTTドコモ 執行役員 北陸支社長 西野 一郎 氏(金沢RC会員)

 昨年は熊本地震など相次いで災害が起きました。携帯電話もライフラインの一つと申し上げていいかと思いますので、今回はドコモの災害対策としてお話させていただきます。
 携帯電話は標準基地局という鉄塔が立っていまして上の方と下の方の地上にも装置があって電波が出て皆様の携帯電話と繋がっています。移動に伴って順番に基地局が切りかわっていきます。基地局と携帯電話の間は無線ですが、それ以外のところはほとんど光ファイバーで繋がっています。
 基地局の機械が故障したり、停電、損壊、水没などの場合は携帯が繋がらなくなります。東日本大震災の津波の時はコンクリートの電信柱の基地局がぽっきり折れ、携帯電話が使えなくなりました。このため災害に強いネットワークを作っていくのが大きなポイントで、災害時に初動が早くできるような訓練も欠かせません。北陸三県では毎年持ち回りの訓練や海上保安庁とは船に災害対策の機器を積み込む訓練、自衛隊との訓練、本社全体の訓練など全国で年間280件の訓練をしています。
 3・11震災の際は東北地方で4,900局、全国では最大6,720局がサービス中断になりました。原因は85%が長時間停電によるバッテリーの枯渇、それ以外は光ファイバーが切れたりするのが12%、基地局の水没など損壊が3%です。対策として大ゾーン基地局といいまして普段は動いていませんが、半径7キロくらいはカバーできる基地局を全国に展開、石川など北陸3県は各県に2局あります。自分で発電するので停電対策は大丈夫ですし、光ファイバーも複数引き込みしてあります。
 もう一つ基地局は自分で発電しながら電波を出し、バッテリーをかなり増量して少なくとも24時間は持たせるような対策を進めています。衛星とつないで電波を出す車も備え、災害時に応援に駆け付けることができます。移動電源の供給や衛星携帯の貸し出しもあります。災害音声お届けサービスはメッセージをメールのような形で送れるサービスです。熊本の地震の時には、どのエリアが復旧したかが分かるように復旧エリアマップをホームページでお知らせしました。
 最近さらにもうちょっとやろうということで、中ゾーン基地局の活用を考えています。普段は絞ったエリアで電波を送っている状況ですが、周りの基地局が倒れたときは電波を出す範囲を広くしてカバーしようというもので、来年末までに全国で1,200局以上展開できるように順次進めています。
 熊本地震では4月16日に本震があって4日ほどでほぼ全部復旧でき、熊本市から感謝状もいただきましたが、災害時にはいろんな対策をとって通話通信を確保する努力を続けてまいります。