高齢社会が抱える問題に着目~ひなの家で最後まで自分らしく~

高齢社会が抱える問題に着目~ひなの家で最後まで自分らしく~

㈱スパーテル 代表取締役 橋本 昌子 氏(金沢西RC会員)

 薬剤師として20年以上、病院や製薬会社で薬局などに勤務している中で、地域の人たちがちゃんと薬を使えるようになるためには地域の薬剤師がそれを担い、薬を通して地域に貢献したいと思い、自分で薬局を開設しました。
 平成20年4月、1号店てまり薬局を能美市の寺井駅近くでスタートさせました。薬剤師2人、事務職員2人の4人で日本一親切な薬局づくりをめざし、近所の子供たちを集めてお薬教室を開きました。子供たちに白衣を着せ、親にも喜んでいただきました。
 てまりグループとして二つの会社を運営、㈱スパーテルが薬局8店舗、有料老人ホーム、これと重ねて訪問介護、訪問看護事業所をやっています。もう一つの㈱EHMメディカルは私の同級生3人で作った会社で私が代表取締役になり、薬局3店舗をしています。グループの社員は約90名になり、売り上げは昨年度実績で11億5000万円になりました。
 平成25年4月に念願の有料老人ホーム「ひなの家」を立ち上げることが出来ました。ここでは看護師、介護スタッフと、協力医、そして私たち薬剤師が全員で入居者にかかわってケアを行います。医療も提供できるので最期のお看取りまでさせていただいています。医療も福祉も組織をつくり、人材育成する、これに限ると私は思っています。まず幹部社員を育成、それぞれの責任とか役割分担、指示命令系統の明確化を必死になってやってきました。
 受賞は、おかげさまで全国商工会議所女性会女性起業家大賞グロース部門優秀賞、いしかわ女性のチャレンジ賞、中小機構ジャパンベンチャーアワード2015社会貢献特別賞をいただきました。これらの賞に恥じないように頑張っていきたいと思います。
 今後の課題ですが、地域包括ケアの時代といわれています。医療と介護は連携するのではなくて一緒に考えなくてはいけません。どういうことかと言いますと、お医者さんは病気を治療しようとします。介護士はその人の生活を見ます。より充実した生活をしてもらうように援助します。ですから全然視点が違います。病気を治しても動けなくなったら台無しです。これからの高齢者の医療は生活がきちんとできるように介護のほうにシフトしていかなければなりません。
 認知症も困難な方の事例が多く出てきていますが、認知症ケアでうまくいくということがあります。ガンの患者さんはガンを小さくすることではなくて、その方の痛みや心の不安を取り除き、最後にやっておきたいことをきちんとやれるようなかかわりをしたい。そして何よりも病気や介護が必要な状況にならないように予防に力を入れたいと思っています。
最終的には「てまりタウン構想」のなかで、いろいろ必要なことが提供できるタウンを作りたいと思います。これから高齢社会を迎えるアジアへ支援に行きたいとも考えています。
 高齢者が急増し病院のベッド数も不足しています。ところが最近では、おうちへ帰るのもよし、高齢者住宅を選ぶのもよし、あるいはシェアハウスで過ごすのもよしと、いろんな選択肢があります。私は高齢者の住まいということを基本において、そこで訪問看護や訪問介護、そしていずれはデイサービスなどを作って私たちの強みを生かした有料老人ホームの運営をしていきたいと思っています。