食品をおいしく食べる技

食品をおいしく食べる技

石川県立大学生物資源環境学部食品科学科
教授 農学博士 石田 信昭氏

 食品自体を考え、食品に対して親しみ・興味を持ってもらいたいと思います。
 食品科学科では、MRI等を使って、食品を壊さず「おいしさ」「中身」の分析を行っています。食品を取扱っている大学は北陸では石川県立大学だけだと思います。
 生きている食材、それは野菜・果物・穀類です。これらは収穫した後も呼吸をしていて生きているので、いかに保存し、おいしく食べるかと言う事になります。
 一方では、畜産物・肉・魚は収穫すると死んでしまいますが、酸素作用が残っていますので、食品は除々に変化していきます。
 そこで調理方法・食べ方を工夫し、食卓に並んでいるのではないでしょうか。
 加工食品(一般に熱処理された食品)は生きていませんし、加熱により酸素作用が失われ、形としては科学物質になってしまいます。
 調理加工の過程で、いろいろな化学物質として変化し味・香りが生成されたり、貯蔵している過程で、化学反応を起こし味が変化していくのを、いかに防いで出来立てのおいしさを保つ貯蔵・製造においての調理方法が必要となります。
 生鮮食品を考えてみすと、生きて呼吸をしていますが、放っておくと除々に成熟(果物)老化(野菜)していきます。基本的には、取れたて、新鮮が一番です。
 未熟な果物を取って成熟させてから食べる果物として、バナナ・洋ナシ・キュウイ・メロン・イヨカン・ポンカン等があります。
 生きている事を利用し新しい食品を作る物として、大豆を発芽させて食べるもやしがあります。
 肉・魚は酸素作用が残っている食品ですがこの作用を利用して、魚の洗い、肉の熟成等を行います。
 酸素作用を利用した物には、麹菌を利用した味噌・醤油等、乳酸菌を利用したヨーグルト・浅漬等、酵母菌を利用したパン・菓子類等があります。
 そして、お茶があります。日本茶は不発酵、ウーロン茶は半発酵、紅茶は発酵という方法で製造しています。
 熟度・貯蔵・加工が食品をおいしくされるための技です。

最後に金森さんより
食物アレルギーについての質問

 食べ物だけでなく、生活環境の変化等がアレルギーに敏感になってきたのではないでしょうか。
 昔は衛生面等が今のように良くなく、人間の体自体が鍛えられていたのかもしれません。
 アレルギーに除々に慣れさせ感じなくさせていく方法もあります。
 敏感になりすぎずに、ワイルドに過ごしましょう。