音楽が僕にくれたもの

音楽が僕にくれたもの

北山クリニック 院長 北山 吉明氏(金沢百万石RC 会員)

 歌というものは、やはり医学なので、体にどんなにいいものかを少し知っていただければと思います。歌は体が楽器という言葉があります。バイオリンならストラディバリウスというように、いい楽器にならないと、いい音が出ませんから、いい楽器に作り変えていきます。
歌手はみんなそうやって楽器、すなわち体そのものを作り変えていく。まさにスポーツと一緒でトレーニングしていくわけです。
声が出る仕組みはどうなっているのか。声帯から声が出ますが、ものすごく無機質な音で、ブザーのブーッという音なのです。その音が口の中と鼻の空間があり、ノドの奥で共鳴してその人の独特な音色になっていきます。
その人の顔の骨格がその人の声を作る。声紋は指紋と同じで声の音色は全員違います。犯人特定のとき、声紋を調べて証拠になる。親子だと同じような声を出し、森進一の物まねをするときは顔がそういう顔つきになります。
脳はいつ使うのか。ある一つの言葉を歌うときに個人の思い出、経験をどう乗せるか、それが言葉づくりになる。そのときに頭の中の脳がすごく使われる。感性の部分です。
スライドのタイトルは「歌で健康」ですが、トレーニングで体はいっぱい変わり、健康につながります。
歌は呼気の運動です。息を吐く運動で長ーく呼気を出す。まさにヨガ、太極拳です。自律神経の安定と血圧の改善が得られる。腹筋、背筋が強化できる。腰痛の予防にもなります。
姿勢の改善には蹲踞(そんきょ)の姿勢がすごく大事です。膝が痛い人は無理ですが、膝を完全に曲げると軟骨に強い圧迫がかかり、立ちますと膝の軟骨がリラックスし、体の軸が真ん中にきて姿勢が正しくなります。日常的に朝、昼、晩とやってください。
ぜひ歌詞やメロディーを記憶してほしい。私たちはイタリア語であれ、ドイツ語、フランス語であれ暗記します。大変難しいが、毎日毎日やっていると憶えられます。
一番大事にしていることは、認知、記憶、表現、工夫です。聴いたら聴いたままにせず、憶える。憶えたら、もう1回自分でやってみる。やってみて工夫をする。この4つのプロセスをぜひやっていただきたい。

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 最後に北山氏は素晴らしいテノールで「椰子の実」を歌い上げ、舞台そのままに感動の余韻が広がりました。