金沢市の国際交流について

金沢市の国際交流について

金沢市長 山出 保氏

まず金沢世界都市構想についてですが、国際都市という一般的な言い方でなくあえて世界都市構想といったのは金沢の個性、特色を磨き高めて世界に発信、金沢ならではということを強調したかったからです。
金沢の姉妹都市は7つあり、それぞれ都市の特徴を生かして交流しています。もう一つ中国の大連とは友好交流都市として先生方の熱心な交流が続いています。
2008年はフランスと日本が修好通商条約を結んで150年の年で、日本とフランスの姉妹都市がナンシーに集まって都市問題を議論し、成功を収めました。第2回の会議がことし5月に21世紀美術館で開催、ルーブル美術館との共同企画展をやりましたが、ポンピュドーセンターとの合同企画展も考えています。
21世紀美術館は建築の世界のノーベル賞といわれるプリツカー賞をもらいました。設計者は妹島和世さんと西沢立衛さんの2人。美術館の施主は私ですから、ことし5月17日にニューヨークのハドソン川の真ん中にあるエリス島での授賞式に出席しました。
妹島さんはイタリアのベニスで開かれる国際建築展の総合監修を任され、そこでまた「市長、来てよ」となったわけであります。8月28日のフォーラムに出席し、金沢という街、金沢の21世紀美術館について話しました。私には、またとない機会であり、だんだんと厚かましくなりまして、心臓に毛が生えてまいりますと、英語で30分ほどやったわけであります(笑)。
話をちょっと変えますが、ユネスコ創造都市のネットワークに入っているのは世界で25あります。日本では神戸と名古屋、そして金沢の3つです。神戸と名古屋はデザインの分野、金沢はクラフトです。
8月にパリへ行き創造都市ネットワーク25都市の全体会議を金沢でやりたいと頼んできました。私の夢は、金沢という街が不断に国際会議、国際学会が開かれる街であったらいいなあ、ということです。
鈴木大拙は、世界的な仏教学者です。この方は本多町に生まれまして、ヨーロッパに、アメリカに東洋の思想を普及した立派なお人であります。その記念館をということで、10月着工、来年の夏、できる予定です。本多町、MROの裏に松風閣庭園があり、その右横で
す。設計は芸術院会員の谷口吉生さんです。先代は谷口吉郎、文化勲章受章者です。谷口吉郎の作品は金沢にたくさんありますが、ご子息の作品が金沢にないのは市長として放置できません。
金沢へ外国から人を呼びたいというときに道路、鉄道、港湾、空港などハード面の整備は欠かせないが、同時に大事なのは中身で、歴史と文化だと思います。視座は世界に向けていきたい。鈴木大拙の記念館を建てるのもその一環です。市民の皆様の理解と協力をいただきたい。