軽くて強い新素材『炭素繊維』

軽くて強い新素材『炭素繊維』

石川県工業試験場 次世代技術開発支援プロジェクト室
主任研究員 森 大介 氏

 石川県の産業の概要は事業所数は3,017ヶ所、出荷額2兆4,243億円、従業員数93,928人。機械関連が45%、電子関連が19%、食品が7%、繊維関連が8%で繊維と食品の比率が高いのが石川県の特色。
①炭素繊維の取組:繊維産業の織物や染色加工技術と機械産業のプレス加工技術の融合。
②炭素繊維の用途:航空機のボディーのアルミに変わる新素材としてCFRPが使われています。CFRPとは炭素繊維と樹脂との複合材料で炭素繊維強化プラスティックの意味です。(Carbon Fiber Reinforced Plas-tics)
③炭素繊維の企業別生産比率:東レが25%、東邦テナックスが20%、三菱レイヨンが11%で世界シェアの70%以上を占めています。
④炭素繊維の需要:以前は航空宇宙のロケットに使われていますが最近は航空機分野にも使われ、自動車産業にも広がってきました。
⑤世界的に見た炭素繊維の市場:圧倒的に欧州が15.5千トン、欧米が8.1千トンで多く、中国、台湾は9.4千トン、日本は3.6千トンで世界の5%程度。何故、欧州では多いのかというと航空宇宙と風車用途が主流、欧米は航空宇宙と圧力容器、中国と台湾はスポーツ用具、日本は用途よりは生産が多いので需要は少ない。
⑥炭素繊維の特徴:軽い(鉄の1/4)、強い(鉄の10倍)、硬い(鉄の7倍)、錆びない、耐熱、耐低温、耐薬品、等
⑦炭素繊維製品の応用分野
 (1):航空宇宙・航空機(ロケット、人工衛星、戦闘機)
 (2):エネルギー関連(風車、圧縮タンク、石油掘削パイプ)
 (3):スポーツ用品(ゴルフシャフト、自転車フレーム、テニスラケット、釣り竿)
⑧炭素繊維を飛行機に使う利点:軽量だから航続距離が延びるのでCO2の削減。高強度だから機内の気圧を上げることにより高い高度が飛べる。錆びないから機内の湿度があげられる。
⑨CFRPの作り方:炭素繊維をいろいろな角度に積層して熱を掛けて樹脂プラスティックを固める。
⑩次世代産業へのビジョン:CFRPで輸送機の軽量化することで燃費を向上させ、地球温暖化ガスの排出を抑制する。