誰にでも警告書は届く

誰にでも警告書は届く

百万石特許事務所 代表弁理士 海野 徹氏

 みなさん、関係ないと思っていらっしゃるかもしれませんが、ある日突然、あなたは私の権利を侵害していますよと、いわれることがあるということなのです。
 知的財産権とは、アイデア、マーク、デザインを守る特許、実用新案、商標、意匠、著作などの権利です。警告書が届いたケースを紹介します。
 ケース1は、商標の話ですが、整骨院を経営している男性が商標権違反の疑いで金沢地検に書類送検されました。東京の会社が子宝マッサージという文言をマッサージに使うということで権利を受けていて、男性がホームページで無断使用したものです。
 ケース2は、金沢市のお菓子屋さんの商品で、シュークリームの上にマシュマロみたいな帽子をかぶったかわいい子供をあしらった商品をインターネットで販売したら、すごく売れたので、目をつけられたものです。米国ハーベイ・ボール・ワールド・スマイル財団の日本国内代理人から警告書が届きました。至急、ライセンス登録をしてくださいという内容。日本ではスマイルブームになっており、若い女性からはニコちゃんマークと親しまれていますが、ニコちゃんマークは目がちょっと大きいのや太い口などいろいろあります。身の回り品や寝具、かんざし、ヘヤピン、ヘヤバンドなどにも使われています。
 さて、どうしたらいいかと相談を受けましたが、文書の感じでみんなに送っているということがわかります。いつまでに返事をしてくださいとも書いてない。ひとまずほっておいてくださいということで、現在、何もいってきていません。一般論ですが、反論すると逆に証拠をつきつけられることにもなります。
 インターネットのまとめサイトで、無料となっているので人物のイラストをチラシやホームページに使って、オリジナルな著作権者から警告書が届くケースもあります。無料のサイトと信じて使ったということを伝えたほうがいいとアドバイス、先方から音沙汰がありません。
 フォントも著作権の対象になります。特徴的な字体にお金を払えばロゴマークの作成など自由にできますが、デザイン登録は認めないと書いてある場合もあり、登録は注意が必要です。
侵害が起きると、差し止めで製造・販売の停止、製品の廃棄、損害賠償ということにもなり、罰金3億円以下という恐ろしい結果にもなります。このため自社のホームページ、商品パッケージ等に使用している言葉の中に他社の登録商標が含まれていないか点検も必要です。
 警告書が届いた場合は権利が有効か、正当な権利者か、本当に権利侵害に該当するか、公報を取り寄せて確認する。確認は容易でないので、弁護士、弁理士に相談する。無効審判を請求したり、裁判でその旨を主張することもできます。