認知症ケアと薬

認知症ケアと薬

(株)スパーテル 代表取締役 橋本 昌子 氏(金沢西RC会員)

 先日、鹿児島での日本東洋医学会という学会に出席しましたが、そのとき読んだ朝刊によると65歳以上の高齢者のうち認知症の人は推計で15%、平成24年度時点で462万人に上るということです。認知症になる可能性がある軽度の認知障害の方も400万人いらっしゃる。65歳以上の4人に1人が認知症と、その予備軍となる計算です。
高齢者数は3,079万人で、74歳までは有病率は10%以下ですが、85歳以上で40%超となる。2~3人に1人が認知症ということになります。
認知症はいろんな原因で脳細胞が死んでしまう。さまざまな障害が起き、生活に支障が出ます。認知症は3つあり、1つは原因を除けば治ります。ビタミン不足とか、甲状腺機能の低下などです。もう一つは予防が大事なもの。例えば脳血管障害などで、後遺症で出る場合もあります。いわゆる認知症というのが3番目の神経の変性疾患です。アルツハイマー病などといわれる神経細胞が減る認知症です。
認知症は普通の物忘れと違い、朝ご飯を食べたかどうか、その部分をすっぽり忘れてしまいます。症状は二つあり、中核症状と周辺症状に分けられます。中核症状は脳の細胞がダメになったために必ず起こる症状です。絶対に抑えることは出来ないといわれるものです。
周辺症状はBPSDとも言われますが、出方は人によって変わってきます。出る人も出ない人もいます。幻覚、妄想、抑うつ、意欲低下、徘徊、興奮などです。原因を取り除くと、周辺症状は劇的に改善します。早く見つけて、早く対処することが大変重要になってきます。
アリセプトという一番早い時期にできた認知症の薬があります。神経は1本の線でなく途中で切れていますが、神経の流れをうまくコントロールする薬です。薬と周辺症状の改善。この両方を組み合わせることによって非常に良い状態に保てることが出来ます。薬とケアを組み合わせることです。
認知症の予防体操をしてみましょう。まず右手をパーの形にして前に差し出します。左手はグーにして胸に当てます。左右の腕を交互に、差し出すほうはパー、胸に当てるほうはグーで10回繰り返します。
2回目は前がグー、胸はパー、3回目は難関ですが、前がグー、胸がチョキ。それぞれ10回繰り返します。日ごろやっていると、脳が活性化するので、ご家族と一緒に笑いながらやってもらえばいいかと思います。
夜中に眠れなくて家の中をうろうろしたりするのも昼寝をしたため眠れないこともあるわけです。昼間の運動量を増やすとか、寝る前に足湯で温めたり、カステラを食べましょうと言ったり、家族とのかかわりが症状をよくします。
相手の自尊心を傷つけていないか、相手の意思を無視していないか考えて、落ち着いてゆっくり話し、原因を突き止めて対処していきます。何かすることには原因があるということを知っておくと、対応もしやすいと思います。