訊くのをやめ、聴くことで得られた人生

訊くのをやめ、聴くことで得られた人生

コーチ・研修講師 吉谷 奈艶子氏

 成長戦略という事で、女性管理職の登用も進められているかと思いますが、私がここまで乗り越えてきた中でお伝え出来る事があるとすれば[女性の葛藤][聴くことの大切さ]について感じ取って頂けたらと思います。
 人生の中で大きな買い物は、家と保険と言われています。買うときは結局その会社の営業マンとの信頼関係だと思います。
 私の人生の転機は3つあったと思います。1番目の転機は子どもを産んだことだと思います。自分の思い通りにならない人生の始まりでした。会社員時代はとにかく仕事が好きで、仕事は完璧にできて当たり前、誰にも文句は言わせないというように肩ひじを張って頑張ってきました。子どもを産んだ途端、全く思い通りにならず、ボーっとしている娘にイライラしていました。ロボットのような生活を子どもに強いていました。子育ても完璧にしないと気が済まなかったのです。その頃躾に厳しい母になろうと思っていましたが、子どもに言う前に自分はできているのだろうかと思いました。「子どもに恥かしくない親の背中を見せたい」と思い、マナーを独学で勉強し始めました。
 2番目の転機は、肩書きのない自分でした。20年後の自分が見えなくて悲しくなりました。独学で勉強したマナーは、仕事で即実践できました。マナーとは「人への思いやり(心)を、言葉・行動で表現する」これは人間関係で、絶対必要と強く思いました。
 3番目の転機は、コーチングに出会った事です。新しい自分の発見・聴くプロになりました。コーチングとは、相手の目標達成のために、相手の持つ能力を可能な限り引き出し、それにより、問題解決を図ったり、スキルの向上を実現することです。聴く・認める質問のスキルが使われます。
 『3つのきく』聞くは、自分の都合の良いことだけを聞く。訊くは、自分の訊きたい話を訊く。聴くは、相手の話したいことを意識して聴く。耳と目と心で聴くと言われます。
 親子の場合は、子どもの話を親がよく聴くことにより、子どもは安心感が得られ、自分の言葉で話せて、自信がついて考えて行動できるようになり、親は子どもが考えていることが理解でき、イライラが減り、穏やかな気持ちで子どもと接することができます。
 相手を理解しようと意識して聴くことにより、信頼関係が始まります。
 コーチングに出会ってからは、聴くことは相手を認めること、訊くのではなく、相手のために聴くということだと思います。
 皆さんも、従業員の方やご家族の方の話をよく聴いてあげて下さい。