観光と地方創成

観光と地方創成

NPO法人 日本海国際交流センター 主任研究員 工学博士
大藪 多可志 氏

 地域社会にダイレクトに貢献できることをしたいと考え、観光をテーマに研究をしております。観光情報学会の会長として、情報テクノロジーを用いて観光をどうサポートするかを考えております。
 少子高齢化・人口減少時代に入り、東京一極集中となり、地方では消滅可能性都市が増えております。そこで、「まち・ひと・しごと創生本部」を政府が設立しました。農業・観光の生産性向上がこれからの課題です。
 観光の語源は中国の易経の「国の光を観る。もって王の賓たるによろし」にあります。
 インバウンドとは日本への外国人旅行者、アウトバウンドとは日本人の海外旅行者をいいますが、日本政府はインバウンド目標値を2020年に4000万人としています。
 2017年4月発表の日本の観光競争力ランキングをみると、1位がスペイン、2位がフランス、3位がドイツ、4位が日本となっており、アジアでは断トツの上位です。文化遺産を大事にしている、交通インフラがいいという評価です。2016年の外国人旅行者数では、日本は16位で2403万人でした。1位はフランスの8260万人、10位のタイで3258万人となっており、まだまだ上にあがれる潜在能力があると考えられます。
 北陸地域は台湾とのつながりが深く、北陸地域では台湾は大きなマーケットです。中華圏、中国・台湾・香港からのインバウンドは多く、言語環境の整備が喫緊の課題です。また、欧米・豪州の方の単価も高く、ここにプロモーションをかける必要もあります。
 インバウンドのメリットとして、5月・8月に集中しないということが挙げられます。
 北陸新幹線開業後の石川県は、首都圏からの観光客・外国人観光客が多くなっております。台湾からの観光客にはかなり強く、また、欧米系にも魅力のある地域であると思います。
 地域資源を核とした地域社会のプロモーションをどうするかということですが、伝統工芸や武家文化を地域資源としてクルーズ船を呼んだり、修学旅行生を呼んだり、マラソンをして観光地を周ってもらったり、医療ツーリズムを行ったり等いろいろな仕掛けが必要です。
 また、これまでは、地元業者や住民目線で観光資源をPRしておりましたが、今後は、観光者目線で資源を開発しPRしていくことが必要になると思います。