裁判員制度に思うこと

裁判員制度に思うこと

高木法律事務所所長 高木利定氏(金沢西RC会員)

 今日はあくまで、私が個人的に考えていることをお話ししようと思っています。
そもそも裁判員制度は、導入した目的がよくわからないところがあります。最高裁のホームページには、裁判に国民の視点、感覚が反映されていくことで信頼が深まり、司法がより身近なものになると書いてあります。本当にそうでしょうか。
金沢の裁判員裁判1号事件の結果は、懲役5年6月でした。求刑は10年。弁護人の意見は1年3月。双方のちょうど中間をとった判決になっています。控訴されない判決を目標とするのであれば、それは市民感覚に基づくものではなく、裁判官の発想によるものといえます。
制度そのものにも問題があると思います。プロの3人の裁判官と素人の6人の裁判員が判決を決めていきます。このような状況下ではプロの意見に従ってしまうのが自然なことでしょう。この制度のために、費用が32億円もかかることも疑問に思います。
どうしても裁判員裁判をしなければならないのであれば、市民感覚を反映することが求められる身近な事件であればいいのではないかと思っています。殺人や放火など重大な事件で裁判員裁判をするのは無理があるのではないかというのが、私の考えです。