血液浄化療法について

血液浄化療法について

金沢大学 血管分子生理学講座(旧第一生理学講座) 協力研究員
石丸 和宏 氏

1 血液浄化療法と糖尿病性腎症
 腎臓の働きが10%以下になったとき腎代替療法が選択され、腎代替療法には血液透析・腹膜透析・腎移植の3つの選択肢があります。
 現在約32万人の患者の97%が血液透析、3%が腹膜透析をされていて、年間1600人位が腎移植をうけています。血液透析導入の最大の原因は糖尿病性腎症で43%で一番多いです。糖尿病・高血圧などの生活習慣病が透析の最大の原因となるので予防的にも治療が必要と考えられます。
 糖尿病性腎症の病気の進み方は特殊で病気の後半、発症して10年から15年で著しく腎臓の機能が低下します。症状のない初期の治療が大切で、血糖の管理は当然ですが、血圧の管理も重要になります。検診も重要で蛋白尿が+になった場合はかなり危険になってきているので早めの治療が必要となります。
2 血液浄化療法の質
 透析の機械だけでは腎臓の役割全てを補完できません。老廃物を除去する部分と体液バランスを整える以外は内服薬や注射薬で補っているのでそこの部分が医師としての腕の見せ所となります。
 透析の質を補うために透析認定専門医という制度が設けられており、日本透析医学会では5600人弱の透析専門医の名簿を公表しています。
3 血液浄化療法の課題
 医療費の問題で透析は1.6兆円の医療費がかかり1人の患者に年500万円かかります。毎年、透析患者が約5000人増えているので250億円ずつ毎年増加しています。
 透析困難症が近年フォーカスされています。透析中止=死、なのですが透析をしないという苦渋の選択をされる方もいます。