薬のまめ知識

薬のまめ知識

(有)とくひさ 代表取締役 徳久 宏子 氏

 本日は金沢西ロータリークラブ会員の橋本昌子さんのご依頼で、お話をさせてもらう機会をいただきました。先日知人が薬局を訪ねて来た際、いつもは1ヵ月分の血圧の薬をお渡しするのに、朝ご飯を食べないから10日分で良いと言われました。その時、私たちはちゃんとした指導をしていなかったと反省し、今回は薬のことを良く分かってもらうためにこの演題にしました。
 簡単に自己紹介します。私は野町にある徳久薬局の長女として生まれ、祖父、父も薬剤師でしたので3代目ということになります。平成17年に調剤薬局をオープンし現在は3店舗を経営しています。
 薬の種類は内服薬、外用薬、吸入薬、座薬、注射などがありますが、主に薬局で扱うのは内服薬と外用薬になります。その薬、主に内服薬がどのように体に作用するか説明します。
 薬は口から入り胃、腸、肝臓を経て血液に入り全身へ巡っていきます。例えば頭痛薬を飲んだ場合、全身に運ばれてその効き目が他で多く作用した場合は副作用となる場合があります。薬が効くという事は目的箇所の症状を緩和し、尚且つ副作用をなるべく出さないという事になります。薬を正しく飲むためには容量(一回に摂取する量)と用法(1日に何回摂取するか)を守ることです。これは血中濃度が高すぎず低すぎず一定の範囲に保つために決められた飲み方です。
 もう一つ大事なことは薬の飲み合わせです。よくグレープフルーツと薬を一緒に飲まないように、と聞いたことがあると思いますが、これは相互作用と言って薬の効き目を妨げる成分がグレープフルーツに含まれているからで、こういった事も大切です。ですから、これらの容量、用法をしっかり守って薬を正しく飲むようにしてください。
 あと、良く勘違いをしていることもありますのでお話いたします。ワーファリン(心臓が悪い方が飲む薬)という血液を固まりにくくする薬がありますが、これと納豆を一緒に食べないでくださいと言われます。このような薬はこれ以外にたくさんありまして一概に全ての「血液サラサラ」の薬がそうではないので薬剤師に確認してください。それから座薬ですが、「座って飲む薬」と勘違いして口から飲んだ方もいます。また「お汁に入れてください」と勘違いしてお味噌汁に入れて飲んだ方もいます。座薬はお尻から入れる薬なので間違わないでください。食間という言葉がありますが、これは食事の後2時間くらいの事で、食事中に摂ると勘違いした人もいます。
 最近は医療費の削減が大前提となっていますが、厚労省の発表では2025年までに全国の薬局を全てかかりつけ薬局にする方針が出されました。それに伴い今取り組んでいる事は在宅医療と剤薬整理です。高齢者が薬を飲めない理由として、種類が多すぎてどれを飲めば良いか分からない、とか何のために飲むか理解していない、副作用が心配で飲めないなどがあります。そのために私達が家に伺い飲み方や薬の保管方法を説明したり、薬の組み合わせを間違えないような受け渡し方法を工夫したりして、無駄を省き医療費の削減に取り組んでいます。最後にかかり付けの薬剤師を作って何でも相談したり質問したりして大いに活用してください。我々薬剤師は頼りにされると嬉しいし、皆様の役に立ちたいと思って常に仕事をしていますので、気軽に頼っていただけると幸いです。ご清聴ありがとうございました。