若年者が、選ぶ企業とは

若年者が、選ぶ企業とは

金沢大学等若者支援キャリアカウンセラー 瀬戸 裕子 氏

 日本生産性本部が発表した今年の新入社員のタイプは「消せるボールペン型」です。変化に対応できる柔軟性を持った子が多いということです。すぐ即戦化しようと熱血指導すると個性を消しかねない。使い勝手のよさから酷使するとブラック企業と誤解されて早期離職になる危険性をはらんでいるということで、消せるボールペン型といわれました。
 ちなみに2013年がロボット掃除型、2014年が自動ブレーキ型ということになっています。
 金大では毎年400社程度の企業にお越しいただいて会社説明会を開いています。学生のエントリーシートに必ず出てくるのが「自分が成長できるかどうか」ということです。そんなとき、あなたの成長のために会社はない。会社の成長にあなたがどれだけできるかです、と一度パシャンとつぶすのですが、学生の意識はそこにあります。
 2番目は仕事が楽しいかどうか、理工系の学生は技術が磨けるかどうかに関心があり、会社の将来性は一番低くなっています。人事担当者は会社の将来性とか製品について一生懸命お話されるのですが、学生は自分を育ててくれるかどうかが死活問題のように思います。
 いまどきの働き方ですが、人並みで十分と思うか、人並み以上に頑張りたいかが拮抗しています。残業を頼んだら仕事をとるか、デートをとるか。8割の子が仕事、と常識的な答えですが、でも5人に1人は断ってデートに行くということですね。
 職業、企業選択のポイントは社風がよいという言葉がでています。一緒に来ていたリクルーターがすごくいい感じで、あの会社で働くと、あんな感じになるんだと思ったというのが非常に多いです。会社のマイナス点とか弱点を話してもらい好感を持ち、その会社で頑張りたいという子もいます。
 ボク何もできない。就職して大丈夫かとよく聞かれます。そんな時、君にすぐできるとは思っていない。やる気のある子、目の色を変えてくれる子、しんどいことがあっても歯を食いしばれる子がほしいんだよ。そこをしっかり見せようよと言ってやります。
 ですからやはり認めてくれる、励ましてくれる、褒めてくれる、そして時には厳しい言葉でしかってくれるところへいきたいと思っていると思います。
 一つ提案を申し上げたいのは、メンターになる方々と、2~3年生くらいと頻繁な接触があると、かなり安心して入ってくるのではないかと思います。先ほど会長さんは毎週するんですよと言われていましたが、こまめに接触の機会をもってあげると、ここでボクは頑張れるということになります。入る前から育てる土壌があることを伝えていただければいいなあと感じております。これからも若者の成長を応援してくださる皆様のもとに活躍していく人材を1人でも送れるようなカウンセリングをしてまいりたいと思っています。