縁(いろんな縁)

縁(いろんな縁)

(株)ゴールドグループ代表取締役社長 金 沂秀 氏(金沢百万石RC会員)

 私は金属の彫刻を習いました。11年習ってから独立し、少しずつやっていました。ある機会に桂記章さんとの縁ができました。自分は職人でその日暮らしのようなものでしたが、会長さん(澤田幸壮会員の父)は言うことが厳しく、しっかりしたデータを持っていて指摘も的を射ている一方、フォローは優しく温かく魅力を感じました。仕事が順調にきたのは、それが原点みたいなものです。
会長さんの月命日にはお花を届けていますが、息子たちも黙っていても墓参りするようになり、周りが褒めてくれます。自分に返ってきた仕事を度外視した良いご縁で、家族ぐるみでお付き合いしています。
ロータリーのご縁では、40年余り前の修業時代からです。家が貧しかったので、夕方になると、金沢西RCにいらした浅地忠先生のお宅に行き、晩酌の相手をしていたのです。「今日はロータリーの帰りや」とか「地区大会の帰りや」とか言われ、豪華なお弁当や記念品を持って帰られた記憶があります。私のようなマイノリティーや弱い者に本当に温かく接してくれました。「一人前になったらロータリーに入るぞ」と思っていました。
社会奉仕団体など、いろんなお手伝いをしています。石川県児童生活指導センターという暴力や登校拒否、不純異性交遊、盗癖などの子供を指導する施設があり、そこの男の子を一人預かりました。それから30年近く、その子が今では僕の片腕になっています。彼がいないとロータリーの仕事もできなかったでしょう。ちゃんとやっていける会社を一つ、彼の名義にしました。
金沢百万石RCは、母国・韓国の南光州RCと姉妹クラブです。14年目になります。毎年青少年の交流などをしており、私も行ったり来たりしています。母国に幼なじみはいませんが、いろんな縁をいただき、李明博大統領直属の民主平和統一諮問会議の委員など、いろんな役割を仰せつかっています。
作品を残したいと「第45回石川の伝統工芸展」と「第36回日本金工展」の2回だけ出品し、入選しました。ただの職人が彫金師とか工芸家とかの名をいただけました。小さなハンマーとマッチ棒のようなたがねでコンコンコンと仕事をしています。
先祖の話をします。僕の先祖は新羅の王家だった慶州金氏です。新羅の都が慶州市で千年の都、奈良市と姉妹都市です。新羅の王は朴氏から10人、昔氏から8人、金氏から38人立ちました。韓流ドラマになった善徳女王もうちの先祖です。世が世ならロイヤルファミリーです。父ちゃんは「悪いことすると先祖の恥や」と言っていました。ボロは着てても堂々としていたのは、このせいかなと思います。僕が先祖の縁を大事にしたら、皆さんも良くしてくれました。そう思っています。