私の庭造り

私の庭造り

SKY 設計事務所(有)社長 山本 峯秀 氏

 今日は私の庭が掲載された資料を見ていただきながら、お話をすすめていきたいと思います。
昔から金沢では、古い武家屋敷、料理屋に能登赤松が植えられています。赤松をいらないかという話がよくあるのですが、立派な赤松であってももらい手がないことが多いので、年に1本ずつ集めて我が家の坪庭に植え始めました。赤松は葉を見るだけでなく、赤い木肌を愛でることで粋を楽しむ樹木として、重宝されています。
燈篭とともに真ん中には国歌「君が代」にも登場するさざれ石を据えております。さざれ石は、石川県では滝坂石として知られ、犀川の滝亭付近でしか採取できない貴重なものです。また、金沢城、兼六園でも多く使われています戸室石も配しています。
奥には茶室を作りました。床には大理石を使っています。イタリアでは、コンピュータを使って切り出しをしているため、焼いたタイルよりも安いということで採用しました。茶室は、靴で入れて、お茶でもワインでも飲めるように立礼席にしました。椅子は、イタリアのデザイナーが日本のしゃもじをイメージしてデザインしてくれたものです。
示野にも土地を買って、庭を造りました。屋根の瓦葺以外は、すべて自分でやりました。やってみると大変難しいもので、職人さんの苦労を知りました。この庭は、自分にとって友達であり、師であり、生きがいでもあります。庭はいろいろなことを教えてくれます。みなさん経営者に指標を示し、きっと役に立つものになるでしょう。
七尾美術館には、長谷川等伯の松林図屏風が大切に保管されています。屏風も大切ですが、描かれた柴垣の松林の現状は、松食い虫にやられて随分痛んでしまっています。是非、県にも大事に保護して欲しいと思っています。
茶室には「つくばい」というところがあります。そこで手を洗う作法があるのですが、形式にこだわるのではなく、私が思うには心を洗ってお茶を楽しむことの方が大切だと思っています。
いずれにしましても、形式ではなく本質を忘れないでいたいものです。