砂漠化防止緑化活動に生きる

砂漠化防止緑化活動に生きる

特定非営利活動法人 世界の砂漠を緑で包む会 会長 大沢 俊夫 氏

 5日から日中省エネ環境総合フォーラムのため中国に行っておりまして、昨日帰ってきました。8日に北京の人民大会堂で会議が開かれ、直嶋経産相や「ポスト胡錦涛」といわれる李克強副首相ら両国の政府や企業の関係者ら約1,000人が出席し、CO2排出量削減や家電リサイクルなど、新たに42件の環境協力で合意しました。
 我々の緑化事業は、ゴビ砂漠の内モンゴル自治区・阿拉善盟(アラシャンメン)で行っていますが、南の甘粛省はもっと貧困で、今後中国緑化基金会と共同して5年間で3億円を投じて環境と経済の両立を目指すべく調印してきました。また、JICA北陸からも2年間で5,000万円をいただき、アラシャンメンでの緑化活動に当てることになっています。
 私がこの仕事にかかわるようになったのは、アラシャンメンの県知事の息子が私の家に2年間ホームスティしたことからです。ゴビというのは地名ではなく砂の状態を言い、台風や竜巻のような風で地形が全く変わってしまうようなところです。雨も年間200mmくらいは降りますが、樹木や草がほとんどないため、一気に低いほうに流れてしまいます。したがって掘れば下のほうには水があります。巻き上げられた砂は、黄砂となって、日本はもちろん時にはアメリカまで飛んでいきます。砂漠化の原因は、温暖化もありますが、エジナ川上流の農業開発による断流、森林の伐採、それにヤギの過放牧が影響しています。家畜は30年前40万頭だったものが10年前には195万頭にもなり、特に草の根まで食べてしまうヤギは10倍にもなり、悪循環に陥っています。
 当会は、1998年に設立され、翌99年に現地の砂漠で葛の種を撒き実験栽培を開始、2003年に特定非営利活動法人(NPO法人)に登記、以降、日本大使館の「草の根無償資金援助プロジェクト」・JICA草の根技術協力事業支援・財団法人イオン環境財団助成・日本経団連自然保護基金支援など多くの方面から支援寄附をいただいて、着実な活動を続けています。当会は「豊かな自然環境を未来の子供たちへ」という基本理念のもと、次の緑化宣言を明らかにしています。①ゴビ砂漠ボランティア植林活動を原点として、砂漠化・温暖化など地球環境保全の取り組みを積極的に展開する。②自立と共生の視点から地元住民の自主的かつ自発的な環境保護活動を支援し、環境に優しい循環型モデルの確立を実践的に行う。③「緑を大切にする心こそ環境問題の根幹である」と考え、地道な環境教育活動を通して、緑の価値観の共有を率先的に行う。④グローバルな見地から顔の見える国際交流をいっそう促進し、相互理解と友好協力の輪を広げて、世界の平和と安全に寄与する。⑤市民主導のボランティア活動に徹しながら、積極的な情報公開を行い、幅広い協力ネットワークの構築に努力する。
 また植林活動等に当たっては、金沢大学の染井教授など日中の専門家に入ってもらい、現地の人にも具体的に指導をしていただき、折角の成果を絶やさないように努めています。