石川県の活性化に向けて

石川県の活性化に向けて

石川県知事 谷本 正憲 氏

 2013年3月31日正午をもって石川県内の全ての有料道路(能登有料道路、田鶴浜道路、川北大橋)を無料化しました。県が債権を放棄してまでも無料化に踏み切ったのは、交流人口を拡大していくことが石川県にとって大切だと考えたからです。無料化後、初めてのゴールデンウィークでは有料のころに比べて2倍以上に交通量が増えました。また能越自動車道も、県境における整備が着々と進んでおり、これが完成すると名古屋圏からのアクセスが格段に良くなります。
金沢港は当初、38豪雪の経験をふまえて、万が一の時に金沢市民に必要な生活物資を届ける目的で作られましたが、最近では、金沢港における貨物の取扱量が猛烈な勢いで増えております。県内企業の金沢港利用率は最新のデータでは42%まで増えております。岸壁を延伸するなど金沢港の利便性を高めることにより、さらに金沢港へのシフトを期待できるのではないかと考えております。そして、全世界とネットワークを持つ釜山と連携することによって、金沢港の貨物集積機能を高めていこうと考えています。
もう一つ、金沢港の役割として最近大きな関心を持っているのはクルーズ船の寄港です。クルーズ船の寄港地として、今脚光を浴びているのはアジアですが、ちょうど金沢港の整備がなされており、ここで金沢港の地の利が出てきたわけです。金沢は、港と市中心地がわずか5kmしか離れていないので、船で来られたお客様が市内観光をするのに適しています。歴史・伝統文化の町金沢はクルーズ船のお客様の評価が非常に高いと聞きます。
そして、交流基盤の総仕上げはなんと言っても北陸新幹線です。平成27年3月開業に向けて準備は着々と進んでいます。車両デザインも車両クラスも決定されております。グリーン車の1階級上の「グランクラス」を設けることになりました。エリア人口に対する石川県への誘客割合をみると、首都圏はまだ5.5%ですが、北陸新幹線の開業により、関西・中部圏並みの13、14%になる可能性は十分あります。その意味でものすごく伸び代があります。首都圏からの誘客だけではなく、長野県との交流も可能になります。
新幹線金沢開業によって、陸海空の交流基盤をすべて石川県は手に入れることになります。後は、交流基盤を相互に有効に活用しあうことが求められています。航空会社には、新幹線にできないことをやってもらう必要があります。まだまだ課題はありますが、これからハード面もさることながらソフト面でいろんな知恵を出していくことが求められます。皆様方にも是非、金沢港からクルーズ船に乗船していただければと思います。