石川県の歴史を探る

石川県の歴史を探る

県立図書館 専門員 石田 文一 氏

 県政出前講座をさせていただきます。私は石川県立図書館の史料編さん室の専門員です。県立図書館の史料編さん室とは、石川県の歴史資料の編集・刊行に従事する組織で、大きく分けると「加能史料」の編纂と「石川県史」の編集を行っているところです。「加能史料」の加能とは加賀の「加」と能登の「能」それぞれを合わせた史料という意味です。加能史料担当は、石川県の古代・中世の基本史料集となる「加能史料」を編纂・刊行します。また加賀・能登関係の古代・中世史料を全国から探し出し、崩し字で書かれている古文書を活字化しそれを年代順に並べて刊行しています。石川県史担当は、石川県の近世・近代の歴史資料を収録する「石川県史資料」を編集・刊行します。また平成は入っていませんが、「石川県史・現代編」編纂のための資料収集、今年の3月に平成11年から平成20年までの出来事を収録した石川県史年表「平成篇弐」を刊行しました。また「石川県史だより」の発行を行っています。
 刊行物である「加能史料」とは、加賀・能登の古代・中世史料を全国から網羅的に収集し、編年体(年代順に記述)で収録した史料集であり、古代編(奈良・平安)と中世編(鎌倉・南北朝・室町・戦国)があります。現在は中世編(戦国)の編集・刊行が進行中であります。加能史料の内容は綱文、史料名、本文、標出、連絡按文、傍注からなっており、古文書を分かりやすくした本となっています。「石川県史資料」とは近世・近代の歴史資料を収録した石川県の歴史資料集です。また平成26年度には「白山史図解譜」を刊行し、平成27年度は「森田文庫絵図選(1)」の刊行を準備中です。「石川県年表」とは、大正時代以降の石川県に関する出来事を政治・経済・文化・社会に分類した年表であり、「大正篇」「昭和篇」「平成篇」があります。
 史料編さん室では、編纂事業の成果を県民に向けて発信し、石川県の歴史に対する理解を深めていただく講座を毎年開催しています。「「加能史料」はいま」という講座では、加能史料のホットな話題を講演会の形で開催したり、「はじめての古文書~古文書解読入門~」という講座では古文書に興味のある方に古文書の読み方を教えたりしています。古文書解読入門の講座では今年度約100名の方が受講し、そのうち約80名が修了していきました。
 県立図書館の編纂事業は地域の歴史資料の発掘に貢献しています。「加能史料」の編纂過程で明らかとなった新知見や史料調査の成果が新聞記事などで紹介されています。