県政報告

県政報告

石川県知事
谷本 正憲 氏

 石川県の経済状況について毎月1回、日銀金沢支店長にお越しいただいてご報告を受けていますが、製造業を中心に緩やかな拡大基調にあり、北陸地方と東海地方が日本経済回復のけん引役になっているということであります。
加えて絶妙のタイミングで北陸新幹線の金沢開業が実現、開業効果が非製造業、サービス業、小売業、宿泊業とか観光関連産業へ波及しています。金沢駅の「あんと」で当初金沢の酒蔵5社ぐらいの試飲コーナーがあったのですが、私の方からやるんなら県内35社の蔵元全部を出してほしいという形で設けましたら、新幹線開業前までは1年間の売り上げが1億円を切る状況でしたが、今は3億5千万円に伸びています。
 花嫁のれん号は満席の状況が続いており、もう1両増やすようにお願いしていますが、本社の壁が厚いということで一向に実現しません。この席にJR西日本金沢支社の児島支社長がおられますが、支社長の独断で入れてもらい、本社に結果を報告すればいい。もし本社からお叱りがあるなら私も一緒に行きますよ(笑)。
 もう一つは新幹線開業が金沢港に劇的な変化をもたらし、全国に100ほどある重要港湾で貨物取扱量が第2位に伸びてきました。クルーズ船の入港も増え、平成27年に19隻、翌年に30隻、今年は54隻。新幹線で金沢へ来て金沢観光と日本海周遊を楽しむ「レール&クルーズ」という旅行形態が生まれようとしています。
 仮設テントで入国手続きするのは申し訳ないので2千人を処理できる20ブースくらいを設け、今の港会館をクルーズターミナルと名前も変え、根本的に作り直します。
 50メーター道路から接岸したクルーズ船の全容が見えるようにし小学生の遠足コースに組み入れます。金沢港は岸壁など平成31年度末までにすべての整備を終えます。
 5年半後に向けて敦賀への延伸工事がいよいよ始まりました。福井県境まで加賀平野を走ることになり、金沢方面からだと右手に日本海、左手に白山の山並みが眺望できるわけです。JRさんはここに防護壁を作りますが、コンクリートの防護壁だとトンネルと同じで絶好の眺望が見えなくなります。ここはぜひ透明のプラスチックの防護壁にしていただきたい。JRさんには特段の配慮をお願いしたいと思います。
 そして新幹線は敦賀で終わりではありません。経済効果の面でも大阪までつながらないと意味がありません。大阪開業は30年後と言っていますが、それだと遅すぎます。15年後ぐらいにつないでいただくと私も杖をついてでも乗れると思いますので、JRおよび関西の経済界とも問題意識を共有しながら早期実現へ向けて頑張っていきたいと考えています。