県内の治安情勢

県内の治安情勢

金沢中警察署長・警視正 谷 和之氏

 刑法犯の認知件数は昨年、県内で8,000件程度で7年連続で減少しているが、ことしの中署は50件プラスで推移している。特に多いのは万引きと自転車盗だ。万引きは遊びの感覚でやっている。昨年から目立つのは高齢者の万引きが増えていること。孤独感からだろうか、心配している。自転車盗は、子どもによるチョイ乗りが多い。12月の年末警戒を含め、取り締まりを進めたい。
中署は片町地区環境浄化作戦を展開している。片町は外国人にからむ犯罪が多い。先週も中国人が性的サービスをするエステ店を風営法違反で摘発した。これまでなかなか及ばなかった経営者の逮捕もできた。数軒の店を経営しており、これでこの種の店はなくなると思う。
交通安全では、県内の交通事故死者を年間50人未満、重傷者を350人未満にしようと、「新アンダー50作戦」を展開している。交通部長をしていた昨年は64人と前年より増え、県議会でも「何をやっているか」と追及された。部長として忸怩たる思いだった。ことしは11日現在で38人。4年越しの県警の悲願が達成できそうだ。現在、赤ランプ作戦や街頭指導取り締まりを強化している。皆さん方、ロータリークラブの協力もお願いしたい。
安全は金をかければ何とかなるが、安心は心。地域のつながりがあって初めて実現できる。津幡署長時代には「社会参加活動のたすきリレー」と銘打った運動を展開した。全小中学校にたすきを回し、たすきをもらった学校の児童生徒が、道路の清掃奉仕や施設慰問でお年寄りの肩たたきをするなどの社会奉仕をリレーで行う運動をした。これにより、少年非行が劇的に減少した。子どもらの非行防止は社会参加から得られることがはっきり示された。ロータリーの皆さんもぜひ協力してほしい。