白山麓の雪と生活

白山麓の雪と生活

石川県立白山ろく民族資料館 館長 山口 一男氏

 白山の麓の500mの白峰の気温は金沢とは5~6度違います。5月の連休まで雪が残っています。そして白峰では梅、桃、桜の花は一緒に咲きます。平成になってからは雪が少なくなってきました。
11月10日に初雪、12月10日から根雪になります。初雪、冬の雪の降る率は変わりませんが、根雪の期間は120日位でしたが100日を切るほどです。
役場には明治43年からの100年間のデータがあります。平年で2.5m、5年に一度は3m、10年に一度は4m降ります。白峰では大正7年7.32mの記録があります。38豪雪は12月30日から2月3日までの35日間降り続け、積雪合計は18mでその冬のトータルは23mでした。56豪雪は最高4m降りました。
雪は1㎡あたり50kgほどですが、気温が上がると圧縮されて、3mであれば1.5トン位になります。豪雪の時、雪下ろしは二階の大屋根より高くなり、電線を越えてしまったことがあります。福井の勝山では、雪下ろしの場所が無くなり、学校では体育館の中まで入れたとのことです。最近では融雪装置を屋根に設置しています。灯油、電気などで溶かしますが、たいへん経済的負担が大きいです。
雪は嫌なものでもあるが、役に立つこともあります。雪があると材木の切り出しにも、夏には出来ない奥山からも容易に出すことが出来ます。また白峰の雪はつむぎをさらすのに良く、平安時代より真白な上質なつむぎを作ってきました。また電力発電においては、雪は財産ですし、除雪は建設業者の冬の仕事となっています。雪の中の生活では、白峰のかんじきは前が反っています、傾斜の強い山に対応しています。全国で白峰だけです。
「しぶた」という、うさぎを獲る道具があります。軽くて撥水性に優れ丈夫なガマを円盤のように編んだものです。投げて、鷹が飛んできたかのように思わせ、驚かし飛び出したところを捕獲します。これも縄文時代からありますが、つい40~50年前まで使われていました。
このように雪は大変ですが、また生活に豊かさももたらしています。