発酵食品とチーズ

発酵食品とチーズ

(株)ためひろ 代表取締役社長 為廣 薫 氏

 例会では2回目になります。お手元のチーズを召し上がっていただきながらご説明したいと思います。
 チーズには基本的に7つのタイプがあり、白くふわふわしたフレッシュタイプはチーズの赤ちゃんと言われるもので、牛乳に酸を加えてミルクからタンパク質をとった北海道産のクリームチーズです。
 あとは全部フランス産で、隣はクローミエと言いまして有名なカマンベールです。白カビの胞子を吹き付けて熟成させたものです。日本で作ってもドイツで作ってもカマンベールといいますが、フランスのノルマンディー地方のカマンベール村が発祥地で、フランス政府は「カマンベール・ド・ノルマンディー」をカマンベールの本家、正式名称としています。搾りたての生のミルクを殺菌しないでチーズにしたもので、味が濃いめです。
 その隣はフルムダンベールというフランスのブルーチーズで、ちょっと香りがありますね。発売当初は青かびが生えたチーズを売るなんてと随分クレームが来たものです。東北地方の方からは漬物の味がするといってくれ、クレームはありませんでした。
 次はオレンジ色の皮のチーズです。皮のところは納豆菌と同じ菌がいて独特の香りがします。しょっぱい感じですね。
 山羊のチーズもぜひ召し上がってください。一番脂肪分が少なく、牛乳アレルギーの方でも食べられます。
 最後はオレンジ色をしたミモレット・ハードタイプで、西洋のカラスミという別名がついたチーズです。日本酒や焼酎に合わせてとか人気があり、総理官邸でもつまみで出されるチーズとして一躍有名になりました。
 ご質問いただいたチーズ同士の相性ですが、発酵食品とまさに同じで醤油と納豆とか、白味噌と赤味噌を合わせて食べるのと同じで、チーズも合わせると複雑な味が増し、おいしくなってきます。どのチーズを合わせても失敗ということはありません。ただブルーチーズ、ウォッシュタイプ(納豆菌のもの)、山羊のチーズというのは個性が強いので、それを入れることで全部その味になることがございます。加減していただくと、どのチーズも相性が悪いということはありません。
 これから寒くなりますので、ワインと一緒にチーズを召し上がる機会があるかと思います。今回ミモレット・セミハードタイプはお持ちしませんでしたが、7つのタイプを覚えていただければ食べられた中で自分のお好みが分かっていただけたかなと思います。お好みの感じをお店の方に伝えてワインと合わせると「チーズのこと、ご存知なのですね」となります。本日の午後のひとときが皆様のお役に立てればと願っています。