留学生30万人計画について

留学生30万人計画について

学校法人北陸大学専務理事 周 航氏

 日本で学ぶ留学生は14万1774人(昨年5月1日現在、以下の統計数字も同じ)います。1983年には1万人でしたが、米国には40万人おり、2000年までに10万人にする計画が立てられました。03年に達成しました。その時米国は60万人になっており、08年には2020年までに独、仏並の30万人にする計画が発表されました。
留学生の受け入れは以前は途上国への国際貢献のためでしたが、今は国家戦略です。中国には2000~3000の大学があります。その中で学長クラスはほとんど欧米の留学経験者で、日本での留学経験者はわずか3人です。彼らの考えは自然、欧米中心となるため、日本に理解がある人材が必要なのです。
大学別では早大が3568人、立命館アジア太平洋大が2921人、東大が2772人の順で多く、北陸大は832人で全国23位、北陸ではトップです。
受け入れで重要なのは、入試前の対策です。北陸大では入学後問題が出ないよう、中国の20ぐらいの会場で筆記と面接の試験をしています。親にも会います。入学後の生活支援体制も重要です。奨学金、授業料減免制度、アルバイト、アパート、ゴミの出しかた、通学の注意などで、入学後1週間かけ母国語で説明しています。また、北陸大には日本語の専任教師が10人おり、これも北陸で最多です。
卒業後は4割が大学院に進みます。質の高い学生が多く、東大、早大、スタンフォード大(米国)などの院に進んだ学生もいます。あとの2割は日本で、4割は中国で就職しています。
830人の留学生のうち、半数は編入生です。北陸大は中国の17大学と提携し、中国で2~3年勉強した後、北陸大で金融や貿易、日本文化などの専門の勉強をする制度があります。両方の大学から学位が出ます。そのため就職が有利になります。また、日本語を1年間学ぶ別科の学生が70人います。別科も北陸ではうちだけです。
最近は中国が豊かになり、一人っ子政策で子どもが甘やかされていることが問題になっています。昨年、学生をバスで買い物に出したところ、1日で100万円も使った学生がいました。遅刻、欠席をする学生も増えています。
14万人の留学生のうち73%の10万3481人が私立大学で学んでいます。また、院生の62%が国立で、学部生の83%が私立です。大連など大都市の特別開発区にある企業経営者は、院生より学部卒業生を望んでおり、学部生は重視される必要があります。留学生政策に関する国費のほとんどが国立大に出されています。私立大の卒業生は日本の国益に貢献しています。しかし、私費留学で私立大で学ぶ人が一番苦しいのが日本の現状です。