環境緑化とゴビ砂漠のその後

環境緑化とゴビ砂漠のその後

特定非営利活動法人 世界の砂漠を緑で包む会 会長 大沢 俊夫 氏

 金沢西ロータリークラブでは3回目の講演になります。環境問題に高い関心と支援を頂き感謝申し上げます。取り組みました緑化事業の活動の写真のパネルを例会会場に展示いたしましたのでご覧下さい。
中国の内モンゴル自治区の西北端に位置する、アラシャン盟にて緑化事業を行なってます。この地域は日本の三分の二の面積ですが、人口は21万人で、90 %は砂漠化しています。この事業は北京も30年後には砂漠化するとも言われ、中国はもとより日本にも影響の大きい黄沙を止める役割があります。本格的には2004年の外務省の事業がスタートです。国の資金、企業の寄付など約2億円の投資をしてきました。今までに1200haを緑化いたしました。
緑化の方法はサンドソーセージと言いますが、福井県の会社が開発した東レの製品で、とうもろこしから作った筒状の繊維の袋に砂を詰め、格子状に地面に設置いたします。風速15mの強風になると砂丘の山が絶えず動いていますが、その砂の移動を抑えます。そうすることによって、雑草の種が発芽し、草地が出来ます。この袋は土壌の中で分解してしまい、環境に優しいものです。この地域は雨量は年間100㎜から200㎜です。しかし3000㎜も蒸発するところで、地面の中まで乾燥してしまいます。このようなところで85 %の植物の定着率は中国で奇跡と言われています。そして植えたものを種が採れるまで活動して、政府に渡します。まさに国家級の緑化のモデルです。
また今年から四川省の地震の崩壊地の緑化も行なっています。ここは植物は根付きますが、雨がちょっと多く降ると濁流になります。石を掘った後の緑化も行なっています。日本緑化協力資金といって小渕総理時代の100億円の事業予算から行なっています。さらに昨年末にJICAと契約をして、新しい事業を推進しています。生態環境保全及び持続可能な発展のための農民研修と社会参加促進事業です。5000万円の予算で202年間の計画です。
また一方日本では里山が荒れています。昭和30年代から燃料が変わり、炭を使わなくなったからです。また安い外材が輸入され林業も衰退していき、放置された山になっております。治山治水の面からも問題です。内モンゴルと正反対の状況です。
内モンゴルでの緑化事業で一番痛感していることは、今後は環境教育が必要ということです。政府、小学校、地域住民を巻き込んでの環境教育を行なっていかなければと思っています。緑化の大切さや具体的な植林、緑化のやり方を継続的に指導していくことが重要です。引き続き事業を行なっていきますが、今後とも支援宜しくお願いいたします。
尚、朱鷺保護協会の村本義雄氏による、緑化講演会が2月28日にあります。是非お聞き下さい。

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