現代の美容院業界について

現代の美容院業界について

クレマチス美容院 代表者 坂井 可全 氏

 13年前に「クレマチス美容院」を開店しました。「クレマチス」は花の名前で「美しい心」という意味があります。美しい心のお客様にご来店いただき、従業員も美しい心で接客する、そういった環境で働きたいと思い「クレマチス」と名付けました。
 美容師には、正社員のほかに、パートタイマー、時短社員、フリーランス、面貸し、業務委託、フランチャイズの7種類の働き方があります。今はフリーランス、面貸し、業務委託、フランチャイズが主流になっています。会社に縛られず自分の好きなように働きたいという美容師が増えているからです。
 このような雇用形態をとると求人がたくさんあるので雇う側にはメリットがありますが、その分集客をする必要があるため低価格で顧客を集めることとなり、結果として価格破壊が起こっています。お客様を綺麗にするというより、お客様をさばくという流れ作業になっています。
 また、フリーランスや業務委託の美容師は掃除一つもしません。Aという美容師が忙しくても、Bという美容師は自分の利益にならないので手伝いません。お客様には見えないぎくしゃくした関係が発生し、チームワークがとれなくなります。
 私の美容院ではチームワークを大切にしているので、正社員とパート・時短社員しか雇用していません。営業時間を短くする、美容室なのに日曜日を定休日にする、結婚した子については時短社員として雇用するなどして、チームで助け合える組織を作っています。
 昔から美容室は「給料が低い。時間が長い。」と言われてきましたが、それを逆手にとって大手の美容室は「給料が高い。自由に働ける。」を売りにしてます。しかし、結局は、お店の中でライバルが増えるので多店舗展開せざるを得ない状況に陥ってしまいます。
 それはそれでビジネスとしてありかなと思いますが、お客様のことを考えていない経営スタンスだと思います。人を助ける気持ちのある美容師を集める経営スタンスが結局最後には勝つのではないかと考えています。
 素晴らしい経営者は器が大きく低姿勢です。私も見習って、1店舗で地に足をしっかりつけて、美しい心でお客様に接したいと思います。