歌と私-桜の花よ泣きなさい

歌と私-桜の花よ泣きなさい

歌手 保科 有里 氏

 金沢市の弥生町で生まれ、金大附属小学校、金大附属中学校を卒業後、金沢西高校に進学して1年生の時に「君こそスターだ!」という全国放送の番組で山口百恵さんの「いい日旅立ち」を歌いました。高校卒業後は日産プリンス石川に就職し、大好きな歌をアマチュアとして歌っていました。当時、将来自分がプロの歌手になるとは思っていませんでした。金沢で三木たかし先生を囲む会に参加して、先生の前で歌う機会をもらいました。その時の先生のアドバイスが、心のアドバイスで、すごく衝撃を受けました。平成2年に上京し、先生の付き人となり、3年間生活しました。先生からは「お客様に向かって歌うな。背中で歌うもんだ。」「どんな人の前でも、少人数でも、多人数でも、同じ歌を歌えることが本当に歌が好きということだ。」など心のレッスンを受けました。また、先生が著名な方々に対しアドバイスをする言葉を真横で聞かせてもらいました。弟子生活も2年半程経ったとき、先生が「神無月に抱かれて」という曲を私のために書いていただき、デビューすることになりました。デビュー後、当時東京品川駅前にあったパシフィックホテルのラウンジでいろんな方と交代で1日3回歌わせていただく仕事を3年程させていただきました。この仕事の経験が後の自分に大きな影響を与えてくれたと思っています。デビュー10周年に「ラブ・バラード」という曲を発表しカラオケでは本人映像が出ています。三木先生と荒木先生が紫綬褒章を受章した記念にお二人で「さくらの花よ 泣きなさい」という素晴らしい歌を作られました。その後、三木先生に癌が見つかり、先生は私にこの歌を託してくださいました。先生が亡くなる1年前に小さなスピーカーと先生のギターで歌うという路上ライブをやりました。どんな場所でも臆せず歌いなさいということを教えてくれたと思います。「さくらの花よ 泣きなさい」を聞いていただければと思います。
 最後に三木先生からデビュー10周年に頂いた言葉を披露させてください。「音楽に夢を持ち歌に愛を込めそのすべてを信じ決して世の中のせいにせず1年1年自分を高めて今10年。人の心を癒し魂に訴え喜び悲しみ感動を伝える伝道師であるように。さらにさらに1年1年夢を持ち続けてください」