最近の金融経済情勢について

最近の金融経済情勢について

 今、デフレからの脱却を頑張ってやっています。そもそもデフレとは、継続的に物価上昇率がマイナスな状況をいいます。しかし、デフレ脱却というのは、物価が上昇すればいいということではありません。企業収益の増加、賃金の上昇と雇用の増加などを伴いながら経済がバランスよく持続的に成長し、その結果として物価も緩やかに上昇していく状況が望まれているのです。
 物価は体温、お金は血液。よくこのような喩えをしております。日本のデフレは、血(お金)の巡りの悪さによって恒常的な低体温症になっているのです。1個1個は正しいことをしているのに全体で合成してみると変な方向にいってしまっている「合成の誤謬」がおきています。
 前向きの循環にもっていくように「デフレ期待の抜本的な反転」のための努力をしているところです。
 物価上昇率2%という目標水準は、20年間実現していないものを実現するという高いハードルを短期間で実現するというものです。そのため、お金の供給量を増やしているのです。主要中銀のバランスシート規模としては、名目GDP比では,日本は欧州・米国と比較しても突出して大規模なことをしております。これがアベノミクスの3本の矢の一つとして大きな役割を果たしております。
 景気は、反動減からの回復にもたつきがあることが確認されています。これを乗り越えていけるのか、「生産・所得・支出の前向きの循環が強まるのか」ということが一番大きなポイントです。これは企業から見れば経営環境の改善が続くということになりますし、家計からみれば、雇用・所得環境の改善が続くということになります。
 現在の企業の売上高経常利益率をみると、製造業・非製造業を問わず、大企業・中堅企業・中小企業を問わず、改善が見られます。
 この企業の利益が家計に回るのか、賃金が継続的に上昇するのかが、次に大きなポイントになります。
 日本経済の成長力は低下してきております。一番の問題は、資本ストックが減少したことです。これが増加していくかがポイントです。
 また、財政規律への信認も極めて重要です。社会保障関係歳出が増加しています。構造的な要因で歳出が増加しているのですから、安定的な歳入を実現する必要があることは明らかです。そのためにはタイミングの問題はあるにせよ、消費税の問題は非常に重要です。先送りすればするほど、将来の世代に対する負担を残すことになります。
 北陸新幹線開業までカウントダウンに入っています。東京との間が2時間半で結ばれ、関西・名古屋との周遊性も上がります。地元の魅力を生かすためには、伝統の継承と新陳代謝が必要です。
 これからは人口減少社会となりますが、人口減少社会で経済が発展しないかというとそんなことはありません。
 地方と都市部の物やお金の配分を再検討する良い機会であると思います。人口減少社会を地方への資源再分配と前向きに捉えるとよいでしょう。