最近の金融経済動向

最近の金融経済動向

日本銀行金沢支店長 北原 道夫氏(金沢RC会員)

 先ず世界の実質GDPの動向ですが、IMFの世界経済見通しでは、2011年度はユーロ圏が+1.6%、タイが+3.3%となっていますが、これにはギリシャ危機やタイの洪水の影響が入っていないので、世界計は+4.0%を割ることになるでしょう。来年度は中国、インド、アジアに支えられて+ 4.0%と比較的よい成長率が見込まれていますが、日本の+2.3%に比べて米国、ユーロ圏が2.0%に届かないのが若干気懸かりです。
欧州ソブリン問題の日本経済への影響ですが、貿易面の直接的な影響は限定的で、金融面については、資金調達自体は金融緩和であまり問題はないが、資金の安全な資産への移動や円高、株価の世界的連動性などが最大の注意点です。
最近の為替レートは名目77円程度で推移し競争力が落ちて大変だといっていますが、各国のインフレ差やその他の通貨も加味した実質実効為替レートで見ると、95年に80円を切ったときの自国通貨高は2005年を100とした場合150であり、現在は110程度とまだ余裕があると見られます。
2011~2013年度の展望では、当面海外経済や円高の影響を受けるものの、その後は緩やかに回復し、12年度+2.2%、13年度+1.5%と見ています。
北陸の景気判断ですが、一部に厳しさも見られるが、全体としては持ち直しの動きが続いている状況です。企業マインド、鉱工業生産指数、消費動向、乗用車新車登録台数、温泉宿泊客数を見ても、改善の方向が続いています。先行きも、円高の不安等はありますが、復興需要や北陸新幹線開業があり、他の地域に比べて良いのではないかと思っています。