政権交代とは

政権交代とは

石川県議会議員 石坂 修一 氏

 私は今、民主党石川県連幹事長の2期目を仰せつかっていますが、どこへ行っても、民主党は何をしているのだとお叱りを受けています。国政の風を起こすのも消すのもすべて国政レベルの話であり、地方議員は市政と国政のハザマにいてどうすればよいか、我々地方議員の立ち位置はやはり市民の側に置くべきだろうと思っています。
私は34年間日本の政治を側で見させていただいたが、今の現象というのは皆さんには初めてかもしれませんが、少し思い返すとあの時と一緒だなということが沢山あります。現在の状況を一喜一憂するのではなく、少し冷静に見ることが一番大事なのではないかと思います。そうしないと、いつまで経っても政治に対する信頼関係ができないし、最後は政治に対する諦めしか残らないと思います。
今日は政権交代について話したいと思いますが、少し歴史を振り返ってみますと、日本は55年体制、つまり自民党2社会党1の割合で永らく国政が続いてきました。しかしロッキードなどの問題が起きて、保守を二つに割って政権交代が可能な国造りをすべきと
1993年6月新生党が発足し、小沢一郎・羽田孜・渡部恒三・奥田敬和・岡田克也・前田武志・石破茂などが参加していました。8月に非自民・非共産8会派による細川護照内閣が発足しましたが、その後の羽田内閣を含めても1年持ちませんでした。したがって本格的な政権交代は2009年8月の民主党政権が初めてといえると思います。
1994年に小選挙区比例代表並立制が、投票行動をちょっと変えると、オセロゲームのように一度に構成が変わって2つの政党に収斂し、政権交代し易いということで導入されました。
政権交代は1994年12月の新生党解散、公明と合体して新進党が発足して以来、10数年、5回の総選挙を経て、やっと政権交代が実現したわけです。
政権交代後、多くの皆さんがマニュフェストどおりやっていないといわれますが、昨年8月現在、180項目中一部実施も含めて、高校授業料無償化、農家の戸別所得補償制度の創設、 生活保護母子加算の復活と父子家庭への児童扶養手当の支給、NPO寄付優遇税制の大幅拡充、埋蔵金の捻出2年間で9兆円等、56%実施しています。全く未着手のものは、ガソリンの暫定税率廃止や議員定数の削減など、6%程度です。マスコミが出来ていないとばかり報道するものですから、皆さんもそういうふうに思い込んでいるのだと思います。
民主党の政権運営に影響を与えている客観的情勢としては、リーマンショックによる税収見通しの大幅乖離(9.2兆円)、参議院選挙民主党敗北によるねじれ国会、東日本大震災による政策の優先順位の変更がこの2年間に起こったことでありますし、皆さんが余りご存じないことで、麻生政権の景気対策としての3年間の基金政策、つまり妊婦検診を5回から14回に、介護職員処遇改善交付金、緊急人材育成・就職支援基金等のバラマキがあります。これらは23年度末で終了しますが、これを延長してくれという要望ばかりが県連のほうに上がってきているのです。
いずれにしても、政権交代へバラ色の夢を演出したり、国民も過度の期待をしたことが影響していますが、本格的な政権交代が初体験であり、政権交代の評価基準を未だ持ち合わせていないことが問題だと思います。したがって、是非政権交代を再び経験させていただきたいと思います。