我慢強い逞しい子を願って40年

我慢強い逞しい子を願って40年

金沢南ジュニアサッカークラブ 代表 大音 与志雄 氏

 40年間少年サッカーに携わり、サッカーを通してしっかりした大人になるように指導してきています。昭和46年に当時三馬小学校の生徒を中心に金沢南ジュニアサッカークラブが発足し、今年で44年を迎えます。たくさんのOBも輩出し、今では10人ほどのOBがボランティアでしっかりと指導しています。以前、当時の金沢市長であった山出市長に呼ばれ昼食を食べている時に「最近の子供は悪い事ばかりをして周りに迷惑をかける子が増えてきている。学校教育が悪いのか?」と相談を受けたことがあります。私は、学校は勉強を教える場所であり、体罰や人権などの問題などがすぐに取り上げられるため教師も思い切った指導が出来ないこともあるが、問題はむしろ家庭教育に問題があると思っています。挨拶も出来ず、食べ物の好き嫌いも多い。親も子供の好きなものばかり作るので我慢できない子供になる。家庭で挨拶や食事や人に迷惑をかけてはいけないなどの道徳など躾が十分であれば子供は立派に育っていきます。
 サッカーには17条のルールがあり、皆それを守ってプレーする団体競技です。団体でルールを守りチームが勝利するために自分はどうあるべきかを考えて行うスポーツです。
 昭和50年、気は弱いが走るのは早かった、そんな長所を伸ばしてあげたくて、当時小学2年生だった息子を金沢南サッカーに入団させていただきました。昭和53年代表になり、全国大会にも出場しましたが、石川県のレベルの低さに唖然としました。翌年はしっかり基本を練習した甲斐があり、2勝2敗1引き分け、第6回、第7回大会ではベスト8に入るまでになりましたが、さすがに全国の壁は厚く、それ以上にはいけませんでした。
 しかし、子供の可能性はすごいもので、一生懸命練習し、あのプロ集団のベルディとは2勝2敗という成績を残しました。
かつてブラジルへ遠征に行ったときに思ったことは、貧しい子供達のハングリー精神をものすごく強く感じた事でした。ブラジルでは1日3食も満足に食べられない子供が大勢います。しかしサッカーでスカウトされプロになれば、食事の心配もしなくて済む。家族も養っていける。そのプロになりたい一心でサッカーに打ち込んでいる姿が印象的でした。
 日本ではどうか。日本では道具や練習するにもお金がかかる。親はその夢に投資する。だから貧乏な子はサッカー選手になれないのが現状です。私はこれでいいのかなあと思います。
 最後に、これまで卒団した子供たちに私が指導してきたことをお伝えします。
①自分の健康は自分で守ること
好き嫌いはしないでなんでも食べ、丈夫な体を作り、同時に枕が変わってもぐっすり眠れるくらい精神の強い子になってほしい。
②人並み以上に努力をせよ。
楽したい気持ちを捨てて地道に練習し続けることが実力となること。手抜きしたりズルなどしない事。
③先々を考え準備をし、勇気を出して行動すること。
④目先ばかりにとらわれず広い視野をもって行動することが大切。
 入団当時はひ弱な子が、卒団する頃にはみんな我慢強く責任感のある逞しい子になって巣立っていきます。サッカーを通じて我慢強く、辛抱強く、逞しい男子に育つようこれからも指導していきたいと思います。