我が体験的漢方療法

我が体験的漢方療法

国際ロータリー第2610地区 石川第一分区B ガバナー補佐 辻  卓 氏(金沢西RC会員)

 私には2つの漢方療法の体験的事実があります。1つ目の体験は、漢方により重大な肝臓障害が早く治ったことです。私は若いころ病弱でした。高校2年の時にある事故により骨髄炎になりました。当時の大量の投薬により、骨髄炎は治ったのですが重大な肝臓障害を患ってしまいました。いわゆる薬害です。その後体調がよくない状態が40歳近くまで続きました。当時私は脱サラをして会社を興し、忙しい日々を過ごしていたため、さらに体調が悪くなりました。大学病院での徹底的な検査の結果、肝臓障害で半年間入院の診察を受けました。会社を興したばかりの私は入院する時間もないと悩んでいると、家内が小松市の実家に相談し、小松市に肝臓障害を治す漢方医学の先生がいることを教えてもらいました。しかし合理主義的な考え方をする私は、この時は漢方のことを全く信用していませんでした。ただあまりにも強く勧められたため、家内の実家の顔を立てる意味でもその医院に行ってみることにしました。その鍼灸の医院に行くと、岸先生にものの1分ほどで肝臓が悪い、かつ、誰にも伝えていなかった軽い胃潰瘍があるとの診察結果でした。その岸先生から3か月の通院で治ると言われ、通院することにしました。治療方法はお灸でした。3か月後には肝臓障害が完璧に治っていました。そのことがあって私は漢方医学のことを根本から考え方を改め、漢方のことを信じるようになりました。
 2つ目の体験は、気功により、メニエール症候群が治ったことです。今から30年ほど前メニエール症候群を患ってしまいました。頭が重苦しく、うっとうしい、不快な状態が半年以上も続きました。そんな時にある人から気功という治療法があると教えてもらいました。神戸市にその医院があるといわれたので、半信半疑のまま大阪出張のついでにその神戸市の医院に行ってみることにしました。そこで気功師が1時間ほど気功の治療をし、その時は全く効果がないように思えました。翌朝もその医院で1時間ほど治療をしてもらいましたが昨日と同様でした。だまされたと思い自宅に帰ったのですが、翌朝何とも言えぬ爽快感があり半年以上続いたうっとうしさがなくなっていました。気功の治療の効果があったのだと思いました。
 この2つの体験により私は漢方医学について考えるようになりました。西洋医学は解剖から始まっています。目で見える部分、いわゆる科学的根拠に基づいています。一方漢方医学は経験の積み重ねの集大成であるといえます。両医学とも体を治すという方向は同じであるため、今後の研究によって両医学の関係が解明されていくのだと思います。
 両医学の違いは、西洋医学である普通の病院に行くと痛いところを診ますが、漢方医学の特徴は必ず全身の状態から診察します。岸先生によると、患者の姿勢、顔色、体臭、感触等を総合的に判断して診察するそうです。また漢方医学の最大の特徴は、体の持つ自然治癒力を最大限に引き出すというところが真髄であるため、考え方としては非常に合理的ではないかと思います。