幅広い視点からの計画

幅広い視点からの計画

石川県PFI 研究会 専務  宮尾 三郎 氏

 まず、PFIというのは、PrivateFinance Initiativeの略語であり、1999年7月に「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律」(PFI法)として公布、同年9月に施行され、2000年12月にPFIの理念とその実現のための基本方針が策定されました。PFI 法の主旨は、本格的な少子・高齢化社会が到達する中で、効果的かつ効率的に公共施設などの社会資本を整備し、質の高いサービスを国民に提供するために、民間の資金、経営能力および技術能力を活用するとともに、併せて財政資金の効率的な使用も図ろうとするものです。
石川県PFI研究会は、2007年8月に52社が集まって設立されました。県内では金沢競馬場の節電対策事業や野々市小学校の改築工事がPFI方式で実施されたことがありますが、全国と比較して石川の実績は少ない状況です。
この方式のメリットですが、①今までは官からの一方的な発注でしたが、官と民が対等に取り組めるということと②多くの分野の企業が参加し、計画できるということです。行政はどうしても前例にとらわれる傾向がありますし、都会で実施した方法をそのまま地方に導入しようとしがちですが、それが民間のノウハウを活用できるということです。
事例として、江戸川浄水場排水処理施設の整備について取り組んだ例をお話します。当初の計画は、既存の栗山浄水場の排泥と新設の江戸川浄水場の排泥とを一緒にして江戸川浄水場排水処理施設で濃縮するものでしたが、これでは江戸川浄水場の濃い排泥を多量の10倍薄い栗山浄水場の排泥で一旦薄めてしまうため、濃縮効率が悪いのです。そこで、栗山浄水場の排泥は既存の濃縮槽で処理し、江戸川浄水場の排泥を新設の濃縮槽で処理してそののち合流させて新設の脱水設備で処理することとしました。これで、濃縮槽の新設は、当初の1/7の規模で済みました。
バイオマス・汚泥の循環利用についても、大都市では大量処理のため化学プラントみたいな装置が必要ですが、地方では小規模で実施できます。通性嫌気性菌(酸素がある場合にもエネルギーを生み出し、酸素がない場合にも醗酵によりエネルギーを得る菌)を使い、化石燃料を使わないのでCO2削減になりますし、臭いもほとんどしない。欠点は1日1回攪拌しなければならないのですが、これもシャベルカーでやれば大規模な装置は要らない。自治体はすぐ金がないといいますが、化石燃料を燃やす運営費で、いくらでも地元企業が参加して取り組めるのです。もっと、PFI方式を活用していただきたいと思います。