声は人なり

声は人なり

フリーキャスター 横田 幸子 氏

 皆様こんにちは。3年ほど前にも「笑顔のちから」という演題で卓話をさせていただきましたが、今回は「声は人なり」という演題で卓話をさせていただきます。
 声というのはその人の性格や人となりなどが表れてしまいます。つまり嘘やごまかしがきかないということです。ラジオのお仕事をしていた時は、声だけの仕事なので「心を磨けよ」とよく言われました。この「声は人なり」とは私の人生のテーマであり、アナウンサーを志したきっかけでもあります。
 仕事で人に会うときもどんな気持ちを持って相手と接するかが大変重要です。心にあることが形になって現れる、つまり心が現実になることを学んだおかげで人生が大転換しました。
 アナウンサーの専門学校で勉強をしていた時、講師の先生が私たちの短い自己紹介を聞くだけでその人の性格などを的確に言い当て、とても不思議に思っていました。当時のアナウンス読本に「アナウンサーの仕事、要は人間の修養心磨きが大切である」と書かれていました。発した言葉はいわば心の表れ、心の鏡のようなものなのではないかと思うようになっていきました。そして「心磨き」に心がものすごく反応し「私がやりたいのはこれだ!」と心底思い、それから思いがけない人生を送ることになります。
 アナウンサーになって仕事に邁進する日々を札幌でおくっていましたが、本当に認めてほしい人にはなかなか認めてもらえませんでした。それは母親でした。以前から私と母との間には確執がありましたが、せっかく親子で生まれてきたのだからこの関係を修復したい、母から逃げずにもう一度絆を修復したいと思い10年目に金沢に帰ってきました。そこで「切れた絆を繋ぎ直す道はある」と書かれた本に出会いました。人と人、人と社会、人と自然、自分の心と体といった見えない繋がりを繋げる道が記されていました。
 親子関係のねじれを修復できるのなら何としても知りたいと思いました。そこで著者の「トータルライフ人間学」を学ぶことにしました。
 そこで人生を魂の次元からとらえること、そして心とは何かを知りたいと思いました。そこで出会った真理をご紹介いたします。「この世に必要の無い人は生まれて来ません。全ての出会いに意味の無い事はありません」と言うことです。私は母から不平不満を言われ生むんじゃなかったとまで言われ、私の人生って無意味だとさえ思っていましたので、この教えは涙が出るほど嬉しかったです。また「試練は呼びかけである」と教えていただきました。願いを叶えるためには試練を超えなければなりません。そしてその試練は超えられないものはやってこないということです。しかし現状のままではだめで自分を変えていく必要があります。
 相手を変えることは容易ではありませんが、まず自分を変えていく事が大切になってきます。私は母の事をもっと知る為に母の人生を叔母に聞き調べました。調べれば調べるほど母の苦労、苦難を知り、これまでの事を母に話し、詫びました。すると母も私に対し謝ってくれ、その時は2人で抱き合って号泣しました。おかげで母との絆が再び繋がる事が出来ました。
 そして母が愛しくてたまらなくなりました。それからの私は、出会う人すべてが愛しい存在になりました。そして会社の看板番組のキャスターの仕事がきました。言葉は「言霊」真実を伝える仕事ですから、そのためには自分の心も磨かなくていけないし、スタッフと「響働」、心をお互い響き合わせハーモニーを奏でるようにして仕事をしていかないと良い番組にはならないと思いました。
 しかしそこでどうしても気の合わない人と組むという試練が待っていました。過去、母との一件もありましたので私の方から歩み寄り、自分を変えて接しました。するとこれまでの関係が嘘のように垣根が全くなくなり、楽しく仕事をすることが出来るようになり視聴率でも1番を取る番組になりました。自分の心をみて私が変わるという挑戦。自分の思っていることを言葉に出してそれが現実となっていく事実を私の体験を通して本日お話しさせていただきました。どうも有難うございました。