北陸新幹線の整備状況と開業に向けた取組み

北陸新幹線の整備状況と開業に向けた取組み

西日本旅客鉄道(株)金沢支社長 三浦 勝義 氏(金沢西RC会員)

 先般の「北陸新幹線見学会」には多数の皆様に参加していただきまして有難うございました。平成27年春の開業に向けて今後工事が進んでまいりますので、またこのような機会を設けることで開業への機運を盛り上げていきたいと思います。
 さて、北陸新幹線開業によって当初は首都圏から多くのお客様の送客が期待できますが、1年後に東北新幹線が北海道・新函館まで延伸されて開業すると、JR東日本の送客が北海道に大きくシフトすることが予想されます。また、過去の新幹線開業後の効果に関するデータによると、たとえば長野新幹線では開業後の輸送人員は26%増と開業効果は認められますが、長野県への観光の入込の増加は4%程度とのデータがあり、観光客の入込効果については評価の分かれるところです。開業効果をいかに持続させるかが重要な課題であると考えています。
 さて、北陸新幹線は降雪量の多い地域を走るので、特に雪に対する対策が必要となります。現在の長野までの区間は井戸水を使った融雪が行われていますが、長野から金沢までの延伸部は井戸水が取水しにくいこともあり、区間ごとに状況に応じてスプリンクラーで散水する、スノーシェルターで覆う、除雪車で雪を飛ばして落とすなどのいろいろな対策が取られることになります。25年度の冬には、雪の中を時速260kmで列車が走行した際に排雪装置が壊れないかなどの「雪試験」を実施する予定で、不具合があれば翌年の車両製造に反映させます。
 敦賀までの新幹線延伸の認可との関連で最近話題になっているのがフリーゲージトレインです。新幹線は標準軌で軌間が1435mm、在来線は狭軌で1067mm と、約40cm幅が異なります。このように軌間が異なる区間をまたがって運行するフリーゲージトレインは、変換装置の上を列車がゆっくりと通過することで自動的に車輪間の幅を変換します。北陸という雪の多い地域で変換に問題が生じないのかなど、克服すべき課題が残っています。
 最後にデスティネーションキャンペーン(DC)について。毎年4回JR 6社で実施するJRグループ最大のキャンペーンで、JR媒体での宣伝広告は有料換算で10億円超に及び、その効果で10%以上の送客の増加が見込まれます。今回北陸3県が初めて協力して取り組むことが決まり、新幹線開業後の27年秋のDCに今年11月、立候補いたします。実行計画を立ててJR 6社にプレゼンを行うべく現在JR 西日本金沢支社が先導役となって準備を進めています。その1年前に実施するプレキャンペーンと、現在JR 3社(東日本・東海・西日本)で毎年冬に実施している「ジャパニーズビューティほくりく」のキャンペーンを組み合わせて、27年春の開業、秋のDCへと盛り上げていきたいと考えています。今後も北海道に負けない観光誘客に取り組んでまいりますので、よろしくお願いいたします。