北陸新幹線の安全・安定輸送対策

北陸新幹線の安全・安定輸送対策

西日本旅客鉄道(株)金沢支社 金沢支社長
児島 邦昌 氏(金沢西RC会員)

 私ども鉄道事業にとりましては,安全と安定輸送というのは事業の大前提となっております。しっかりと安全・安定輸送を守っていくことが重要です。
 開業された北陸新幹線は金沢から上越妙高駅までがJR西日本、その先がJR東日本の線路となっており、乗務員は長野駅で交代しております。
 開業後、たくさんのお客様に北陸へお越しいただいております。
 首都圏の方に「温泉に入って美味しいカニが食べられる」ということをアピールするために日本旅行の大久保さんらと共に冬の北陸美食フェアなどもやっております。
 北陸新幹線開業後、大きな輸送障害が発生したのが平成28年4月17日です。金沢西RCの皆様には大変ご迷惑をおかけしました。発達した低気圧による強風の影響で金沢‐富山間の19か所の架線に飛来物が付着し、5時間も新幹線が止まり、2万3000人にご迷惑をおかけしました。
 安定輸送を続けるために金沢新幹線総合指令所というものが存在いたします。雨・風・雪・地震等の自然災害に備え、金沢新幹線総合指令所では情報を収集し、対策をしております。
 本日は雪への備えについてお話ししたいと思います。
 分岐器(ポイント)への雪対策として、急速除雪装置・散水消雪装置・ガス熱風装置を設置しております。
 また、開業後に想定外のホームへの積雪がありましたので、現在、ホームに融雪マットや窓に網戸を設置するなどの対策を講じているところです。
 線路設備の雪対策ですが、北陸新幹線は雪を貯める方式となっています。上越新幹線は沿線に大きな川があるので散水式が可能なのですが北陸新幹線には安定した水源がないため、かなり深い溝を線路の両側に設置し雪を貯めて捨てています。ロータリー・ラッセルという除雪車を23台所有し、これらの除雪車で対応しています。
 ここからはあまり知られていないのですが新幹線の台車に雪が付着し氷の塊のようになり、これが走行中に落ちると地上の設備を損傷したり、バラストを飛ばして危険であるということで、JR東日本管内に入る前にこれを糸魚川駅で高圧洗浄装置を使用して落としています。必要がある時には「かがやき」も糸魚川駅に臨時停車して、28人が1チームとなり、6分程度の作業時間で昨冬は7日間行いました。
 これから雪との戦いが始まりますが、雪に強い北陸新幹線として安全・安定輸送を確保してまいります。