公共交通優先のまちづくりを進めるために

金沢市交通政策課 係長 山島 茂 氏 ・ 主査 今川 良太 氏

 金沢市では第2次交通戦略の策定にむけてこれまで様々な交通政策を行ってきました。昭和46年のバス専用レーンの導入からはじまり、バス接近システムの導入、平成11年には金沢ふらっとバスの運行開始、平成15年に「歩けるまちづくり条例」の制定、翌16年ICaの導入などを行いました。
 そして現在、北陸新幹線開業を見据えた①歩けるまちづくりの推進②ふらっとバスルートの充実③郊外地域運営バスの導入④公共レンタルサイクル「まちのり」の導入⑤バス専用レーンの拡充⑥パークアンドライド⑦2次交通案内の充実⑧バスレーン時間帯拡大やパークアンドライドの交通実験など行っております。中でもレンタルサイクルは利用者が拡大しており、また2次交通の案内所は一日300名強の方にご利用いただいております。
 2次交通戦略策定の背景は高齢化社会と少子化においての観光客増加への対応、環状道路などの道路整備、国の方針によるまちづくりと連携し、面的な公共交通ネットワークの再構築などが挙げられます。国は、利用者の縮小により負のスパイラルに陥らないため人の交流を活性化させ、かつにぎわい創出や地域住民の移動手段確保を目指したコンパクトシティの実現のため、自治体が中心になって改善していくという方向を打ち出しています。
 金沢市の都市計画マスタープランでは、全方位的に交通網を敷くのではなく公共交通重要路線を指定し都市構造の集約を図るため、まちなかを核に『ネットワークでつなぐまちづくり』を基本コンセプトに平成34年までの間、様々な取り組みを展開します。内容としてはLRTやBRTなど新しい交通システムの導入などにより、少子高齢化社会に対応した都市の基幹的交通手段の構築などです。その実現のためには様々な課題がありますが、①交通ネットワークの再構築②交通機能の連携強化③交通利用環境の向上④歩行者と公共交通の優先⑤広域・圏域交通による交流の推進の5つの基本方針をたてて取り組みます。
 この2次交通戦略が目指す未来の姿は①過度に車に依存しない交通体系②安心して楽しく回遊できるまちなか③誰もが使いやすい交通環境④都市の競争力・魅力の向上の4点を挙げています。「ネットワークでつなぐまちづくり」に向けて特に重要な取り組みとしては、公共交通重要路線の強化、バス路線の再編、パークアンドライドの推進を挙げており、これからも時代に合った金沢らしい交通環境整備に、金沢に住む様々な方と連携し取り組んでまいります。