伝統食は未来食

伝統食は未来食

(株)ヤマト醤油味噌 代表取締役社長 山本 晴一氏(金沢東RC会員)

 和食がユネスコの無形文化遺産に指定されました。海外に目を向けると非常に追い風になっています。
 日本人が何を食べてきたかを振り返ってみましょう。元々、日本人はいまの輸入食のようなものを食べていて、40歳ほどで亡くなるような短命でした。それが健康食になったのは鎌倉時代に玄米食になってからです。戦国時代に何十キロという甲冑を着けて歩き回れたのも玄米食のお陰です。
 安土桃山時代になり三度食になりました。明治、大正と文明開化になり、カレーライスなどが出てきました。私たち昭和30年生まれでは、加工食品が出てきて、お袋の味がビニール袋の味になったのが、現在です。
 和食の定義とは、だし、みりん、醤油です。和食は江戸時代後期に出来上がりました。だしを取る文化は、江戸時代前半にはありませんでした。
 石川の食文化は、魚醤の文化です。加賀の料理は晴れの料理です。石川は四里四方に海山すべて揃っている、こんかにしん、こんかさば、など発酵食にも恵まれています。河豚の卵巣、かぶらずし、いしる、などもそうです。加賀・能登の特徴的な文化と言えます。
 大野醤油は、日本の醤油の5大産地の一つです。当時は酒造と並ぶ産業の一つでもありました。
 私どもではヨーロッパをはじめ、世界に進出しています。もともと船乗りの家系なので、「何かいっちょやってやろう」という思いでやっています。
 経営理念は「私たちは、お客様の健康で喜びに満ちた食生活の実現のために、お役に立つ商品・サービスを喜んで工夫して創り、お届けします。また、自らが、季節の味・旬のものを活かす日本の伝統的な食文化を楽しみ、これを、関わる人々にお伝えします。働くことは、傍を楽にと心得、社員一同相和し協力してこのミッションを実現します」です。
 ヤマト醤油味噌は、発酵食美人メーカー「美人をつくる会社」です。女性が、美人になるようなハッピーな商品をつくり、提供していくことが重要だと思っています。製造面では、有機JASやISO22000のさらに上を行くFSSC22000を国内のしょうゆ業界で2番目に取得するなど、顧客満足度向上のために邁進しています。
 醤油は、「昔は=飲む点滴」でしたが、「今は=飲む美容液」です。金沢大学との共同実験でも、肌の真皮が暑くなったという非常にいい結果が出ました。
 私たちは、「発酵食は、腸美人」と考えています。また、「一汁一菜一糀」をお薦めしています。
 来春の北陸新幹線金沢開業に向けて、金沢で様々な発酵食づくりに携わっている皆さんと協力し、協働できるような大きな夢のあるストーリーを仲間たちと作りたいという思いから、金沢で発酵食を体験していただく「発酵食大学」を開催したいと企画しています。伝統は革新の連続だと考えています。