世界の過酷なマラソンから学んだ共走とは

世界の過酷なマラソンから学んだ共走とは

金沢工業大学講師・日本ヘリコプタ協会幹事・
白山ジオトレイル実行委員長・極地ランナー 赤坂 剛史 氏

 私は神奈川県で生まれ育ち、大学卒業後、橋梁メーカーの川田工業に就職しました。東日本大震災の年の4月から金沢工業大学で教鞭を執っております。大学ではドローンやヘリコプタの研究をしています。
 私が挑戦してきたのは7日間で250㎞を走るマラソンです。宿泊はテント泊で、スタート時点で7日分の食料を背負って出発します。荷物は15㎏くらいの重さになります。私が走ってきたのは、サハラ砂漠、アタカマ砂漠、ゴビ砂漠、南極大陸です。
 砂漠のマラソンではゴールが見えない大砂丘地帯を走ります。砂がパウダーのように細かいので踏ん張っても砂が崩れてしまいます。気温は日中50度を超えることも夜は0度くらいまで下がることもあります。標高が3500mを超える高所を走ることもあり、高山病になる人もいます。体への負担がとても大きく、体をコントロールしながら進む必要があります。なお、南極のレースは、砂漠のレースを2つ以上完走しなければ出場することはできません。南極ではクレバスに落ちると死んでしまうという恐怖心を常に持ちながら走っていました。また、紫外線が直接地面に降り注ぎ、サングラスをしていても、その隙間から太陽が入ってくるので、失明の危険もありました。
 これらのレースが終わり、夢がなくなったとき、金沢工業大学の先生からご縁をいただき、こちらに移り住んできました。そこで出会ったのが白山です。白山を見て、自分がやってきた7日間250㎞のレースをすれば元気な人がいっぱいできるのではないか、日本を元気にしたいと思い、白山ジオトレイルを始めました。
 白山ジオトレイルは「競って走る」より「共に走る」ことを中心に据えています。白山比咩神社からスタートして、加賀禅定道を一里野温泉から登り、奥宮まで上がってまた戻ってくるというルートです。白山七社をすべて回るコースで白山ジオパークの名所も回ります。キャンプ地で選手たちに伝統芸能を披露したりもします。
 白山の魅力を感じながら走り7日間の過酷なレースを通じてかけがえのない仲間が出来きます。大会後は新しい自分に生まれ変わりエネルギッシュになる自己成長の大会です。7日間のロングステージですが決め手は疲労回復にあります。疲れない食事をすることが必要です。感情のコントロールも大切です。トップアスリートほどよく感謝をするといわれます。不安な気持ちを持っていると体が動かなくなるので常に感謝をしてポジティブな気持ちで走ります。
 とにかく皆さんも走ってください。心拍数を上げましょう。長時間動けるのは人間だけです。体を動かすことによってリンパの流れが良くなり脂肪が燃えてアルカリ性になります。血流が良くなることで脳にも酸素が回り成績が良くなります。
 チャレンジというのは非常識を常識に変えることだと思います。チャレンジは生きることだと思います。第4回白山ジオトレイルは8月20日から7日間開催されます。是非、みなさんも参加していただけたらと思います。