ラオス北部で見えたもの~青年海外協力隊の活動を通して

ラオス北部で見えたもの~青年海外協力隊の活動を通して

JICA北陸・村落開発普及員 大森 裕子氏

 青年海外協力隊は国際協力機構(JICA)のボランティア事業の一つで、自分の技術、経験、知識を開発途上国の人々のために活かしたいと望む20歳から30歳の青年が、ボランティアで2年間派遣されているものです。
ラオスは23万6800㎡で、千葉県と同じくらいの大きさです。首都はビエンチャン。通貨はキープという単位を使っています。5万キープが日本円で500円ほどと考えていただければ分かりやすいでしょう。ラオスは17の県からなり、68もの少数民族が集まっているところが特徴的です。国土は70%が森林に覆われています。
私の任地であるウドムサイ県のフン郡は北部にあり、山が多いことでも知られている場所です。着任した時には、電気が通っていませんでしたが、任期2年の間で電線が通りました。水事情は、ドラム缶のため水を家の中に保管して使います。現地の人たちは皿洗い、洗濯、水浴びなど、そのほとんどを川の水でまかなっています。食事については、ラオス人のお宅にお世話になっていました。野菜、川魚、肉、何でもあります。
ラオスの特産物として織物が有名です。綿、シルクなど素材は様々で、民族によって模様、刺繍が違うことが特徴です。長い巻きスカートでシンと呼んでいるものが特に知られています。
私の仕事は村落開発普及員で、現地の教育局からの要請により、教育関係の仕事をしていました。活動は大きく分けて2つあり、学校保健活動と幼稚園の巡回がそれです。フン郡には94の村がある中で幼稚園は13しかありません。小学校は107校ありますが、1年生から最高学年の5年生まで揃っている学校は27校しかないのが実態です。学校は壁がない屋根だけの校舎もあります。椅子も机も足りず、立って授業をしているところもあります。
衛生面で非常に危惧されるところもあります。家畜が校庭に入ってきて糞をすると、裸足やサンダルの子供たちが踏んで寄生虫や菌に感染する場合もあります。ゴミ箱を置き、校庭がきれいになった例もありました。水がない場所でも衛生教育をするために家から水を持ってきてもらい、歯磨きなどを教育しました。教室に寄生虫などのポスターを貼ったり、授業でもこのような場合には病気かもしれないという指導をしました。
途上国には物質的な不足はありますが、そこにいる人たちは能力がないわけではありません。何にもできないわけではないのです。子供たちも生活力、自分で生きる力を持っています。小さい子でも修理だって何でもします。今日の報告により、皆さんにもこの状況を少しでも知っていただけたらと思います。