フルート・ミニ・コンサート

フルート・ミニ・コンサート

酒井 貴代氏

 まず初めに「ハンガリー田園幻想曲」を演奏します。本来は10分くらいかかる長い曲ですが、本日は冒頭部分だけを演奏したいと思います。
 この曲はとても有名で、この曲を聴いてフルートを習いにいらっしゃる方がいます。生徒さんは、下は小学4年生から上は87歳の方までいます。見ていただいて分かると思いますが、フルートは横に構える楽器なので、ずっとこの格好でいると大変疲れます。最初は5分と持たない方も多いですし、四十肩・五十肩でフルートを持てない方もいます。東京ではバリアフリーが進んでいて、足が弱い10代の子が多いです。顎も細い。30分間立っていられない生徒さんが多いので、立つ練習から始めて、レッスンの3分の1くらいはフルートを吹かずに動くことを中心にしています。
 フルートは、顎、左手の人差指、右手の親指の3点で構えます。親指を硬くして、ほかの4本を動かしてみてください。動かしにくいと思います。緩めるとちゃんと動くようになっています。右手の親指はフルートを支えなければならず、これが硬くなってしまうと、ほかの指が動きにくくなるジレンマがあります。こういう体の使い方を含めたレッスンをしています。
 次に、「グリーンスリーブス変奏曲」を演奏します。これは世界中で一番有名な曲だと思います。この曲も知らない子がいますが、文部省唱歌が教科書に載らなくなったためかと思います。
 次はバスフルートで、バッハの「チェロ組曲第1番」の1曲目「プレリュード」を演奏します。フルートは450グラムですが、バスフルートは1.5キロほどあります。フルートよりも低い音で、パンチのある音ではありませんが、静かな音色を奏でます。当時、バッハと名乗って作品を発表する「ブランド商法」が流行ったようですが、本当に作品が良ければ、作曲家にこだわらずに皆さん聞いてくださるのでないかと思います。

フルート・ミニ・コンサート 次に、福島和夫さんの「冥」(めい)を演奏します。私はなるべく日本人の作曲家の曲を演奏したいと考えています。福島さんは今も上野の音楽大学で教鞭を執られている方です。この曲は、福島さんが30代の頃、国際音楽祭の中心的存在であったシュタイネッケ博士を追悼するために書いた曲です。
 最後にフェルーの曲を演奏します。フェルーは36歳のとき交通事故で亡くなった若い作曲家です。この曲は東洋の祭りを題材にしたものです。