トラック・バスの安全技術

トラック・バスの安全技術

石川日野自動車(株) 代表取締役社長 小林 洋 氏

 関越のバス事故がありました。今の技術では安全装置が開発されていて、活用されていれば避けることができたのですが残念なことになりました。
今日の日経新聞の第一面では、「GPS精度が世界最高に。誤差1センチ」という記事が掲載されており、実用化されるようです。車や鉄道の無人運転は、今後非常に重要な技術になるでしょう。グーグルが無人の自動運転の技術開発をしています。トヨタも目指していますが、将来どうなるのでしょうか。
1700年代には蒸気で走る車が作られました。その後、1886年にはベンツがガソリンで走る車を作り始めました。その後、車は進化してきました。様々な問題も発生しましたが、解決しながら発展してきました。環境問題もそうです。
排ガスの問題については、日本、ヨーロッパは世界でも非常に厳しい規制を持っています。トラック、バスのマフラーに白いハンカチをあてても全く汚れません。それくらい燃焼がよく、不要なものをきちんと回収しています。技術と法律できちんと対処しているのです。
中国は、みなさんがご存じの通りの状況です。中国では、環境に対する技術力がないということもありますが、規制を緩めているのです。富裕層の方々が困るから、とも言われています。
地球温暖化対策では、電気自動車、ハイブリッドにおいても世界最新の技術を開発していますが、最後に残る問題は「安全」だと考えています。
問題なのは、混在されている道路事情です。人、自転車、バイク、軽自動車、乗用車、大型車などが混在している状況です。これにどう対処していくのか。技術的には進化しています。自動走行がこれにあたります。
追突被害軽減ブレーキを紹介しましょう。もともとはボルボが出しましたが、その後いろいろなメーカーが出しています。EUでは、2014年をめどに商用車は義務化になりますので、日本でも追従することになるでしょう。日野自動車では、大型トラックについて2年前から標準装備になっています。
関越のバス事故を受けて、バスは来年の11月から発売される車はすべて追突被害軽減ブレーキを標準装備するように規制がかかります。すでに世の中で走っている車もありますので、バスは20年ほど使えることを勘案しますと、入れ替わりには20年かかるだろうと思われます。
ふらつき防止装置については、居眠りに有効です。自動的に信号が出て、ドライバーに教えてくれます。トラックの横すべりへの対策技術もあります。日野自動車でもVSCという装置を全車に装備しています。
エネルギーITSという技術では、車間距離4メートルで自動運転する技術です。隊列走行することによって燃費は15%アップすると言われています。無人運転の技術が進化すれば、ドライバー不足も解消されると思います。
まず乗用車から無人運転が導入されるだろうと考えています。車はどんどん進化しています。