デジタル化以後のテレビ

デジタル化以後のテレビ

北陸朝日放送株式会社 編成局 北村 真美 氏

 視聴率という言葉をお聞きになったことがあると思います。昨日の番組は何%だったとか、サッカーは30%超えなどのように使われています。私の仕事である編成というのは、視聴率という数字との戦いをしています。
弊社はこの地域で4局目のテレビ局で、昨年度20周年を迎えました。116万人の地に4つのテレビ局がひしめくというのは全国にも例がなく、激戦区です。今日は、2011年7月24日完全デジタル化が完了しましたので、その後のテレビをとりまく状況についてお話したいと思います。
いろいろな視聴者の方から「BPO/放送倫理・番組向上機構」にたくさんの意見が寄せられています。例としては、家族で楽しめる番組が少ない、CMまたぎと呼ばれるCMの入れ方に関する苦情、ニュース番組でツイッターの文字が画面に流れていると集中して観られない、ニュース番組がワイドショー化している、などが指摘されています。
視聴率の話に戻りますが、「全日」「ゴールデン」「プライム」と呼ばれるそれぞれの時間帯に誰がどれだけ観てくださったかということを統計しています。ビデオリサーチさんというところが、モニター契約というものをします。石川県では200世帯の家庭に視聴率をはかる機械を置いています。翌日には、どこの局が何%の視聴率を獲ったのかがわかるような仕組みになっています。
視聴率をはかる時間帯は、全日の場合は朝6時から24時、ゴールデンは19時から22時、プライムは19時から23時になっています。毎分視聴率というものもわかるようになっています。その結果、例えばあるニュース番組の中でもどの話題で視聴率が高くなっているのかがわかるのです。
なぜそこまで数字にこだわっているかというと、営業とつながっているからです。視聴率の面では、フジが王者の時代が続いていました。昨年度は、日テレがフジから王者を奪取した1年でした。今年の3月には、年間の視聴率において、日テレが全日、ゴールデン、プライムのすべての時間帯で首位になり、三冠を獲りました。
手元にある週刊誌の記事によると、三冠を獲ると営業利益100億円の経済効果があると書かれています。三冠を制することによりブランド力がつき、翌年度のCMの引き合いが明らかに違ってくるのです。ですから、編成局にとって視聴率は至上の命題なのです。
2012年度ですが、さらに激戦になっています。その勝敗は12月16日に行われる選挙が大きく影響してくるだろうと言われています。今年度の上位を争う日テレとテレビ朝日の最終段になってきます。日テレは、FIFAサッカーを放送しながら選挙放送をやるような番組になると思います。古舘さんで選挙に臨むテレビ朝日、王道を行くNHK、もう少しやわらかいところで切りこんでくるであろうフジ、もともと強いTBSという面白い戦いになると思います。