シリアについて

シリアについて

創和建築設計事務所 所長 作田 武 氏

 シリアの国土は日本のおおよそ半分です。シリアは国連の委託統治領でした。人口は現在3000万人くらいです。医療の発達もあり、30年前から4倍に増えました。
 シリアはとても文明の栄えたところです。メソポタミア文明やエジプト文明発祥地の近くです。シリアには、それらに勝るとも劣らない文明があったそうです。ヒッタイトがエジプトより勢力的に強かったのは鉄器を発見したからだと言われますが、その前の銅器・青銅器時代からほとんどエジプトに戦争で負けたことはありません。
 私は山本美香さんが殺害されたあたりを旅行しました。アレッポ、ホームズ、ハマ、キリス、ダマスカスなどです。それは3000年から4000年前にはあった町です。「砂漠の塩」という本やパルミラのビーナスという展示会を見て、また、知り合いからいただいたパルミラ遺跡の絵はがきを見て、1回行きたいと思っていました。
 シリアには1万2000年前には集落がありました。城塞の集落といわれています。蜂の巣を伏せたような城塞です。ギリシャ時代より前に、シリアで同じような神話がありました。地中海世界は一体です。教会のデザインはどこも一緒です。
 古くから黄金の三日月地帯とか豊穣の三日月地帯とか言われて、とても豊かでした。シリアには砂漠がありますが、現在も非常に豊かです。塩分を含んだ土壌でも栽培できる農作物が結構あります。シリアの河川は灌漑がなされていますが、未開発の国土がたくさんあります。
 シリアの宗教はイスラム教です。イスラム教からみると、仏教は宗教ではなく哲学です。イスラム教が認める宗教は、イスラム教のほかはユダヤ教とキリスト教だけです。アルジェで事件がありましたが、人命尊重といっても、神を同じくする人の人命と異教徒のそれとは違うのではないかと思います。
 コーランは研ぎ澄まされた聖典ではなく、いろいろなものを寄せ集めて成り立っています。基本的なものの考え方は、集めて、分類して、分析して、まとめるということですが、コーランは世界都市構想金沢と同様に、寄せ集めて、括っているだけです。コーランには統一されたものがありません。だから部族ごとにコーランの解釈が異なるのです。