オーストラリア見聞

オーストラリア見聞

北陸寝装(株)常任相談役 渡辺 明氏(金沢西RC会員)

 オーストラリアは世界でも希なほど、仲間意識の強い国民性があります。キャプテン・クックの領有宣言後、囚人を中心とした開拓団が英国から送り込まれ、彼らの想像を絶する苦労が、仲間意識を育てたと思います。
初めてメルボルンに行ったとき、不思議な光景に出合いました。どのタクシーも、客が助手席に乗っているのです。開拓者の苦労を忘れないため、運転手と平等意識を持つためだと聞き、大変感銘を受けた次第です。
娘は年2、3回帰国します。近所に留守の挨拶すると「草木に水をやっておきます」「防犯のために見回りをしましょう」とそれぞれが申し出てくれる。支え合う意識が継承されているそうで、これまた感銘を受けました。
ラクダの肉を食べようというキャンペーンがあります。19世紀に内陸部を開拓するため中東から運ばれたラクダは、鉄道の普及でいらなくなり野生化。現在120万頭と世界一で、10年後には倍増するといわれています。干ばつで水を求めて牧場を荒らすなどの被害が出ており、政府は2年前にキャンベラでステーキの試食会を開いたのだそうです。
一方、シドニーもメルボルンも日本食レストラン、特に寿司屋が日本のコンビニ並にあります。本格的な店に入ると、琴の音が流れ、壁には浮世絵、カウンターには鉢巻きに甚平、前掛け姿の職人がいました。聞いてみると中国人とのこと。カウンターには醤油差しと並んで油差しがあり、かけると赤身がトロに変身するとのこと。ネタの多さも驚きで、中でもチキンの照り焼きの寿司は非常においしく、何回もお代わりしました。この分だと日本の寿司職人の中で、”本場”オーストラリアで修業してきたと自慢する人が出るかもしれません。