いしかわの建築と街づくり

いしかわの建築と街づくり

(株)五井建築設計研究所 代表取締役社長 西川 英治 氏(金沢東RC会員)

 私は(株)五井建設設計研究所の代表取締役をしております。当社の先代社長である新村利夫はたいへん長らく金沢西ロータリークラブにお世話になりました。充実したロータリー生活であったと聞いております。この場をお借りして御礼申し上げます。
 さて、今日は建築やまちづくりについてのお話をさせていただきたいと思います
 現在、21世紀美術館や鈴木大拙館などをはじめとする金沢の現代建築に注目が集まっていますが、金沢の建築の魅力は現代建築かというとそうではないと思います。
 金沢は古い建物もたくさん残っていて近世から現代までの建物が混在しており、その重層性が魅力ではないかと思います。また、このような金沢の建築の重層性は、建築のサスティナブル性すなわち持続可能性を示しています。
 こうした観点からみて金沢市民は伝統的な建築物が町の財産であるという意識をもつべきではないかと思います。
 次に文化財の体系についてご説明します。
 まず、国が指定するものとして国宝と重要文化財があり、石川県内には建物の重要文化財が43件あります。また、阪神大震災で重要文化財に届かない古い建物が壊されてしまった反省から平成8年に登録有形文化財という制度ができました。この制度は指定制ではなく登録制であり、石川県内には229件であって全国16位です。辻家庭園もこれにあたります。さらに、建築物ではなく街並みを保存するものとして重要伝統的建造物群保存地区という制度もあります。石川県内には8地区あって全国最多です。
 さて、私のおすすめの石川県内の古い建築物としては、壮大な茅葺屋根が見られる輪島市の本誓寺、加賀大聖寺藩第3代前田利直の休憩所として建設された長流亭、軒に柱がない特殊な構造を見ることができる成巽閣、明治8年に創建され西洋化していく日本の息吹を感じることができる尾山神社神門などがあります。
 最後に、わたしが創った街の経験として金沢市若松町のシェア金沢のお話をします。
 シェア金沢は障害者や高齢者、学生の住む町です。高齢者などを介護施設等に集めて生活してもらうのは効率的なのですが、隔離してしまうという面もあり、シェア金沢ではいろいろな機能をごちゃまぜにしています。また、シェア金沢は、既存の緑をなるべく残しています。シェア金沢には400円で誰でも入れる温泉があり、以前は金沢市役所近くにあった「ももや」が移転していて食事をとることもできます。みなさんぜひ一度お越しください。