『史記』を通しての中国感

『史記』を通しての中国感

株式会社金森合金 代表取締役 金森 和治 氏(金沢西ロータリークラブ会員)

 中国は、4千年、5千年と言われるように歴史のある国です。史記は紀元前250年頃で、中国の歴史を現在から遡るとちょうど半分くらいの時代にあったことが記されています。史記を読めば、中国の為政者、国の治め方がわかってきます。
中華というのは文化の中心という意味です。文化を広げようとして領土を広げるというのはこの頃からの考えです。今日でも中国のそのような行いに議論が多くあると思いますが、2千年以上前からそのような国であったことがわかります。
史記は、中国前漢の武帝時代に司馬遷によって書かれた歴史書で主に政治的なことが書かれています。「本記」12巻、「表」10巻、「書」8巻、「世家」30巻、「列伝」70巻に分かれています。
史記を書いた司馬遷は、生誕がはっきりしていませんが、145/135年~87/86年の方だと言われています。周代の記録係の家系に生まれました。夏陽県竜門(現在の陝西省韓城市芝川鎮)というだいたい中国の地図上で真ん中にある場所で生まれました。20歳ごろには東南、中原を巡って、屈原が身を投げたと言われる汨羅江(べきらこう)を観たり、楚の文化にも触れて歩いたそうです。汨羅江は、横山大観が描いたことでも知られています。
その後、北に向かって夫差ゆかりの姑蘇を訪れたりして、各地の歴史の史跡を丁寧に見てまわり、資料を調べたり、古老などの様々な人たちの話を聞いたそうです。この調査をまとめたものが、史記になっていったのです。著述家でありますが、大旅行家でもあり、探検家とも言えると思います。
大史令になり、多くの書籍や文章に触れることを仕事としながら、紀元前104年頃に史記を執筆し始めました。しかしこの頃「李陵の禍」によって牢獄に入れられ、4年間牢獄で過ごすという屈辱も味わいました。しかし、その後も精力的に執筆を行い、紀元前90年頃には史記が完成したと言われています。
史記には多くの故事成語が出てきます。よく知っているものもあると思うので、興味を持って調べてみるのも面白いと思います。
※史記にでてくる故事成語(レジュメより)
・先んずれば人を制す
・唇破れて歯寒し
・将に将たり
・王侯将相いずくんぞ種あらんや
・天道是か非か
・忠言耳に逆らい、良薬口に苦し
・匹夫の勇。婦人の仁
・完璧
・寧ろ鶏口となるも牛後となるなかれ
・屍を鞭打つ
・鹿を馬となす
・四面楚歌
・酒池肉林
・国士無双
・背水の陣
・雌雄を決す
・百発百中
・鳴かず、飛ばず
・満を持す
・謀を帷幄の中にめぐらし、勝ちを千里の外に決す
・一敗、地に塗る
・怨み骨髄に徹する
・右に出ずる者なし
・奇貨おくべし